当道場では、小説・漫画・アニメ・映画の表現の違いを、
では、漫画とアニメの違いは何か?
『坂道のアポロン』の原作とアニメの表現の違いを、
【原作】 ~第5巻より
まず、カットです。
原作の方は、平面的なカットのコマを多層化させて右側に割り、
薫と千太郎の目がかち合うカットに読者の視線を誘導した後、
2人の呼吸がぴったり重なる瞬間を捉えた中央の大きな2コマに、
自然と目が集まるような構図を作っていますね。
いわゆる「視線誘導」というテクニックです。
中央の2コマはお互いが対面し、寄り添うように描かれてます。
原作の中でも屈指の名シーンです。
それに対しアニメの方は、薫の表情を映す時は上からの視点、
千太郎の表情を映す時は下からの視点と、
ステージの高さを意識した立体的なカットが用いられていました。
演奏時はそれぞれのカットに移り変わっています。
映画的と言えばそれまでですが、2人の息の合うシーンも、
別々のカットに切り替わって連続的に流れてしまっていたので、
原作よりも距離感が出てしまっていた気がします。
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だけど以心伝心、会話もなくお互いの心が通い合い、
地下スタジオで練習していた時間が蘇ってきます。
そして徐々に高まっていく会場の気運と、2人の意気。
漫画にも出来ない、そして映画にも出来ない表現。
「淳兄…!今日のセッション、俺ぃ一生忘れんけんな。」
この台詞は、感情のこもった本物の長崎弁でした!
ご清覧ありがとうございました。