↑悪の栄えた試しなし…なんてはずはない!
アニメ『バクマン。』も、ついに七峰くんが登場しましたね。
さて道場主は、原作で七峰くんが例の50人合議制を初披露した時、
亜城木夢叶は七峰くんに必ず敗北すると思っていました。
このやり方が漫画業界に一石を投じる提案であったのに対し、
サイコー達2人が七峰くんに宣言した「PCPで叩き潰す」の根拠が、
「そんなやり方はプロとして許せない」からという、
極めて曖昧な個人的主観に基づくものであったからです。
キミタチ、面白さ至上主義じゃなかったんかい。
ところが結果は、七峰くんの自滅という形で作品打ち切りとなり、
投じられた石が何の波紋も起こさぬまま、このエピソードは終わりました。
すっごく煮え切らない思いをしましたよ私は、ええ。
確かに七峰くんの方にも明らかな失点があり、
50人の意見を纏めるほどの力が無かった事実は存在します。
ですが、それは七峰くんのプロデュース力が否定されただけで、
合議制そのものが否定された訳ではありません。
それどころか、作品の面白ささえ継続できていれば、
漫画家先生の苦労を低減する、実に理想的な手法である事を、
後にシュージンも認めちゃっているのです。
では、七峰メソッドが完璧な管理の下で行われていたら、勝負はどうなったか?
編集との二人三脚で良質な作品を生む手法に勝てるのか?
邪道バトルの申し子・道場主が、これを考察してみたいと思います。
【その他のネタ考察】
もしもIQ80の引きこもりが夜神月の『DEATH NOTE』を拾ったら
もしも乙女漫画の男子と萌え漫画の女子が付き合ったら
―――
まず、勝敗の基準となる「面白さ」とは何ぞやという所から決めましょう。
漫画をテレビや自動車のように、1つの商品として見た場合、
漫画作品の面白さは「品質」の事であると定義出来ます。
モノ作りにおける製品、芸術活動における作品という違いがあるだけで、
顧客満足に応えるものであるか否かが、商品優劣を決定すると言えるでしょう。
品質は、時間をかければその分だけ良くなります。
しかし週刊連載を続けていく上では、時間をかける事は許されません。
従来の漫画作品は、時間と品質との兼ね合いによって生まれてきましたが、
品質に拘りすぎると、連載が継続できないケースも出てきます…。
時間と品質は、トレードオフの関係なのです。
で、もしこの品質を複数人でマネジメントしていくとしたら、
先生方を苦しめる時間的制約が一気に解消出来る可能性がありますし、
先週までは神展開だったのに今週の展開はいまいちといった、
品質のバラツキも未然に防ぎ、一定の面白さを保つ事だって容易になるでしょう。
時間短縮と品質向上が両立できちゃう、夢のようなお話です。
しかし、50人で面白いネタを考え、七峰くん1人が意志決定をするやり方では、
出来うる品質にも限界が生じ、必ず破綻を起こします。
面白さを判断するのは顧客であって、七峰くんではないからです。
七峰メソッドを管理図で表すと、こうなります。
七峰くんは読者アンケートの結果が亜城木作品を越えられなかった理由を、
「レベルが高すぎて読者が理解できなかったから」と断じ、
読者より50人の力を信頼していたがゆえに、まともに分析してません。
しかもこの50人の中にも、顧客ニーズを作品に取り入れようとした人が居ません。
仮にも編集経験者とか居るんだろ? 勝負の2話目()とかいう眉唾より、
少しでも読者に満足してもらえるアイデアを出せよマジで。
作品の品質を上げる為には、読者が何を望んでいるかを正確に把握し、
計画方針の段階からそれを落とし込まなくてはなりません。
品質学の観点から見た場合、七峰メソッドは工程管理(SPC)に優れていて、
漫画家1人でやるより効率的に作品を作る事に成功はしていましたが、
読者の声を拾い上げるシステムがこの時はまだ構築されておらず、
珠玉のアイデアが誰得状態になっていたと考えられます。
これを改善するには、品質管理(TQC)という別の手法によって、
顧客ニーズを専門的に分析する人達を50人の中に加え、
それぞれの能力に応じて人員を適切に配置する必要がありました。
引用:環境と品質のためのデータサイエンス
SPC: Statistical Process Control
→ 品質のバラツキを管理し、品質向上に繋げる手法。
TQC: Total Quality Control
→ 品質目標を決め、50人の総力を結集して管理する手法。
世界で最も有名なTQCは、トヨタ自動車の「カイゼン」です。
効率化の理念を、期間工や掃除のおばちゃんまで社内の隅々に浸透させ、
全ての社員が同じ目標に向かって継続的な改善を行っています。
七峰メソッドの問題点は、盛り込んだアイデアが顧客満足に繋がっていない事と、
アイデアの選定を七峰くん1人で行っていた事です。
これらをTQCの適用によって、具体的に「カイゼン」してみましょう。
―――
七峰メソッドに顧客の声を反映した管理図がこちらです。
従来のシステムでは、七峰くんのお眼鏡に適う面白いアイデアであれば、
読者アンケートの結果に関係なく作品に取り入れられてきました。
これが原因で、需要と供給の不一致を起こしていたと考えられます。
新システムでは、読者アンケートの結果を分析し、
抽出された要因から導かれる改善案を基にアイデアの選定を行う事で、
生産リソースを無駄なく作品に伝えられるようにしています。
このように、PLAN→DO→CHECK→ACTIONの4段階のサイクルを
ぐるぐる回して継続的な改善を行い、品質向上に繋げる手法を、
それぞれの頭文字を取って、PDCAサイクルと呼びます。
アメリカの統計学者、エドワーズ・デミング博士が完成させて、
戦後の日本企業に持ち込んだ考え方です。
PDCAサイクルの中で最も重要なのは、CHECK=評価です。
成功要因(Signal)と失敗要因(Noise)をどれだけ正確に抽出できるかが、
このサイクルを円滑に回す為の分かれ道になります。
ですが安心、品質学には2つの要因(SN比)をパラメータ化して評価する、
タグチメソッドという魔法のような手法があります。
田口玄一さんという日本人工学者の方が編み出した秘奥義で、
これを使いこなせば、改善もスムーズに進みます。
どうせだからこれもPDCAサイクルに組み込んじゃいましょう。
七峰くんもいくら頭が良いと言っても、ただの高校生です。
彼にはブレーンが必要であり、それは漫画に詳しい50人()とかでなく、
いかにして品質=面白さを継続させるシステムを考え、
頭の良い七峰くんを納得させうる人材こそが望まれました。
なので、新人編集の小杉くんも、アプローチの仕方を間違えてるんです。
やり方が正しいとか間違ってるとか、主観的な話はどうでもいい。
七峰メソッドでは面白い作品が継続できない事を論理的に説明すべきでした。
もしも七峰くんがデミング博士のマネジメントシステムを導入していたら、
旧態じみた亜城木ごときの根性論には敗れたりはしていません。
ここからは道場主が七峰くんのアドバイザーとして50人の中に加わり、
勝利へのプロセスをシミュレートしていきましょう。
―――
サイコー 「ネットで意見してもらって作品を作るなんて…!」
シュージン 「作品は邪道でもいいけど、作り方が邪道じゃ駄目だ!」
七峰 「編集に頼ってるうちは、自信の無いアマチュアですよ…」
サイコー「プロを舐めない方がいい、そんなやり方、いつか必ずボロが出る!」
シュージン 「お前を10週で打ち切りにしてやる!」
…(゚Д゚)ハァ?
七峰 「勝ち負けは結果です…新しい友情・努力・勝利を見せてあげますよ」
亜城木なんとかの前で啖呵を切った、我らが七峰せんせい。
さっそく仕事場でネットミーティングを行います。
nanamine >
1話目、速報で2位でした
ta1 >
1話目はあれでいい、勝負は2話目!
SUGI >
おっ!編集経験者 ta1さん! どういうこと?
ta1 >
大事なのは2話目で負けないこと
亜城木が何か仕掛けてくるなら2話目と予想する
駄目だこいつら…早くなんとかしないと…
dojyo >
2位じゃ駄目なんでしょうか(キリッ
SUGI >
おっ!元新聞記者 dojyoさん!どういうこと?
dojyo >
大事なのは現状を分析すること
SN比の最適条件を尺度にロバスト設計しましょう
SUGI >
お、おぅ
dojyo >
アイデアは詰め込みすぎるものでなく…
こうして50人に品質学をレクチャーし、七峰せんせいの了解を得て、
話作りの上手い人は物語のアイデアを、編集経験者や私は情報分析をと、
人員をそれぞれの担当ごとに振り分けていきます。
dojyo >
…という風に、SN分析によってアイデアの取捨選択をしていくんです
nanamine >
なるほど、それなら客観的に判断できますね
SUGI >
でも面白いアイデアなら積極的に取り入れた方が、
順位は上がるんじゃないの?
ta1 >
『H×H』の冨樫も言ってたな、アイデアは暖めておくって
使えるネタをここぞって時に出す方がより面白いって事だろ
流石にみんな理解が早い…必要なアイデアを必要な時に必要な分だけ使う、
これぞトヨタ自動車に伝わる必殺技・ジャストインタイム!
dojyo >
アシスタント14人に、アイデアマンとデータアナリストが50人、
全員の総力を結集させれば、作品の質を継続できますよ
nanamine >
よし、この方法で行きましょう!
くっくっく…亜城木め、ネットの力を舐めるなよ。
―――
サイコー 「ええーーーーーっ!?」
シュージン 「本ちゃん4位!?」
服部 「2位の『有意義な学園生活に必要なソレ』に票を奪われている」
サイコー 「七峰くん、2話目で急に絵のクオリティが上がったんだよな…」
シュージン 「それだけじゃない、3話目以降は詰め込みすぎの読み難さが無くなってる」
それがTQCによる「カイゼン」の結果ですぜ。
七峰 「ご無沙汰してます、亜城木先生…フフフ」
シュージン 「…七峰くんっ?」
七峰 「ほぉら、僕が正しかった…こんな新人、過去に居ます?」
シュージン 「俺たちは、俺たちの『PCP』をしっかりとやっていくだけだ」
七峰 「フフ…亜城木先生は勘違いをされてるようですね」
サイコー 「何っ!」
七峰 「ネットの力を、50人の横の繋がりをね」
そう、亜城木コンビは最初から勘違いをしているんです。
ネットで見つけた50人を、統率の取れないバラバラの集団だと決め付けている。
なぜ七峰くんがネット上で漫画に精通した50人を見付ける事が出来たのか?
それは、この50人が何らかの情報を発信していたからに違いありません。
そしてそれらの情報は、同じコンテクストを持つ人達に共有され、
ソーシャルメディアを経由して横の繋がりを生むのです。
2chで面白発言してる人をテキトーに選んでるとか、そんな訳がない。
でもって彼らが発信する情報は、Noise要因が予め取り除かれています。
Signal要因だけを共有するリテラシーが、50人にはあるんです。
それぞれの価値観が違ったとしても、それぞれを理解し合う人達を、
統一された目標の下で適切にマネジメントしていけば、
大きな成功を得るのは、決して難しい事ではありません。
オウンメディアを活用する実際の企業運営と考え方は全く同じです。
真城くんはともかく、高木くんまでネット=2ch的なものだと思ってるのが、
道場主としては全くもって得心がいかないですね。
玉石混交の「石」の部分しか見てないとしか思えません。
七峰 「どうせなら同じ話で勝負しませんか?簡単に白黒つくじゃないですか」
シュージン 「そんなの大問題になる、その挑発には乗れない」
サイコー 「…やろう、シュージン」
シュージン 「サイコー!? …まぁ編集長がOKすればいいけど…」
サイコー 「俺たちがこんなやり方に負けるはずない」
七峰 「僕には50人ものアドバイザーが居るんですよ?」
シュージン 「君にはそれを纏める力は無い、つーか誰だろうとそんなの無理」
誰かが纏めるんじゃねぇ、全員で纏まるんだ!
七峰せんせい、この青二才どもに正義の裁きを下してやりましょう。
再びネットミーティングにて。
> しかし、ありがちな設定だけに難しいぞ
> 正攻法もいいけど大どんでん返し
> いかに華麗にカッコよく勝たすか
> 感動の演説とバックボーンになる出来事なんてどう
七峰 (みんな真剣に意見を出してる、これならいける…!)
いやいや、いけないから。
dojyo >
それぞれの意見ももちろん大事ですけど、
読者の声を分析した結果を基にアイデアを練りましょう
NARUTO >
つまり…どういう事だってばよ?
dojyo >
y=βMから得られるのは漫画の基本的性質である面白さですから、
制御因子の水準値を変えて、読者との需要の誤差をマッチさせましょう
NARUTO >
お、おぅ
take20 >
俺が考えた先週のオチは上手くマッチしなかったもんな
nobuo >
下ネタだったけどな
…こいつらはクビでいいんじゃないのかな
boss >
なら、暖めておいたアイデアを使うのはどうだ?
SUGI >
おっ!ジャストインタイム発動きたーー!
take20 >
生徒会長に圧倒的不利な状況で立候補した生徒を勝たす話にするんだろ
今の展開で使えそうなのがあったはず
nobuo >
それならこれは…
七峰 (みんな真剣に意見を出してる、これならいける…!)
ついにTQCがここに成った…!
七峰せんせいの勝利も秒読み開始だ。
見ていろ少年ジャンプ…待っていろ亜城木夢叶!
―――
服部 「…3位だ」
シュージン 「3位!?」
サイコー 「『有意義』は!何位だったんですか!?」
服部 「…1位だ…見事だよ」
シュージン 「1位…そんな…」
サイコー 「敗北…破滅…挫折…、負けたっ…」
服部 「『PCP』に票を入れた人は、『有意義』の方も上位にして入れている」
本当にこの世は金と知恵ですね、亜城木先生。
実際のストーリーでは、七峰くんは亜城木コンビに惨敗します。
それは、七峰くん個人に原因があったのではなく、
やはり生産システム上に欠陥があったからだと思います。
逆に、システムに問題が無ければ、充分に勝つチャンスがあったと言えます。
道場主としては、やり方が間違ってるという結論で締めくくられたのは、
アンフェアであったのではないかと思っています。
このお話、後日談があります。原作では七峰くんが
「シンジツコーポレーション」という名前の漫画制作会社を設立して、
再び亜城木コンビの前に立ち塞がるのですが、
この会社ではモニターを雇い、読者の声を拾い上げるシステムにしてます。
で、シュージンの感想が前述のこれ↓
そう、今度のシステムは良く出来てるんです。TQC的に。
でも結果的に駄目だったのは、目標がはっきりしていなかったから。
「新世界の神になる」のが目的だったはずの夜神月が、
いつの間にか「Lに勝つ」のが目的となり、迷走していったのと同じ。
七峰くんは「亜城木に勝つ」事を目標にした時点で間違ってました。
「読者アンケート1位」を目指すべきだったんです。
PDCAサイクルも、導入すれば必ず成功する訳ではありません。
明確な目標、的確な分析は絶対条件となります。
単に計画を立てて実行するだけなら2ステップで済みますが、
形だけを真似るんだったら、余計な工数が増える諸刃の剣なんです。
しかし、おかしな点がありますよね…。
七峰くんが作ったのは紛れもなく「会社」なんですよ。
会社の経営目標がはっきりしないって、駄目でしょ、それ。
素人50人がやってる時はまだいいですよ。
でも、会社は事業内容を公表しなくちゃいけないんですよ。
実家がお金持ちだから銀行から融資を受けなくていいっつっても、
こんな所と一緒に仕事してくれるパートナー企業なんか見つかりっこねー。
諸悪の根源らしき、ひげのおっさん↑
名前が分からんけど、経営コンサルタントらしき人物も居ますよね…。
この人はいったい何をやってたんでしょうか。
私の目にはとても優秀な人物には見えませんが…。
つまり悪いのはこのおっさんだ。七峰せんせいは己が正義を貫いている。
このおっさんがプロの仕事をしなかったから、あんな目に…。
うんきっとそうだ、そういう事にしよう。
結論: おっさんは死刑
七峰せんせいは正しいんだー。
それさえ伝われば、私は他に言う事はありません。
これぞトヨタ自動車に伝わる必殺技・ジャストインタイム!
dojyo >
アシスタント14人に、アイデアマンとデータアナリストが50人、
全員の総力を結集させれば、作品の質を継続できますよ
nanamine >
よし、この方法で行きましょう!
くっくっく…亜城木め、ネットの力を舐めるなよ。
―――
サイコー 「ええーーーーーっ!?」
シュージン 「本ちゃん4位!?」
服部 「2位の『有意義な学園生活に必要なソレ』に票を奪われている」
サイコー 「七峰くん、2話目で急に絵のクオリティが上がったんだよな…」
シュージン 「それだけじゃない、3話目以降は詰め込みすぎの読み難さが無くなってる」
それがTQCによる「カイゼン」の結果ですぜ。
七峰 「ご無沙汰してます、亜城木先生…フフフ」
シュージン 「…七峰くんっ?」
七峰 「ほぉら、僕が正しかった…こんな新人、過去に居ます?」
シュージン 「俺たちは、俺たちの『PCP』をしっかりとやっていくだけだ」
七峰 「フフ…亜城木先生は勘違いをされてるようですね」
サイコー 「何っ!」
七峰 「ネットの力を、50人の横の繋がりをね」
そう、亜城木コンビは最初から勘違いをしているんです。
ネットで見つけた50人を、統率の取れないバラバラの集団だと決め付けている。
なぜ七峰くんがネット上で漫画に精通した50人を見付ける事が出来たのか?
それは、この50人が何らかの情報を発信していたからに違いありません。
そしてそれらの情報は、同じコンテクストを持つ人達に共有され、
ソーシャルメディアを経由して横の繋がりを生むのです。
2chで面白発言してる人をテキトーに選んでるとか、そんな訳がない。
でもって彼らが発信する情報は、Noise要因が予め取り除かれています。
Signal要因だけを共有するリテラシーが、50人にはあるんです。
それぞれの価値観が違ったとしても、それぞれを理解し合う人達を、
統一された目標の下で適切にマネジメントしていけば、
大きな成功を得るのは、決して難しい事ではありません。
オウンメディアを活用する実際の企業運営と考え方は全く同じです。
真城くんはともかく、高木くんまでネット=2ch的なものだと思ってるのが、
道場主としては全くもって得心がいかないですね。
玉石混交の「石」の部分しか見てないとしか思えません。
七峰 「どうせなら同じ話で勝負しませんか?簡単に白黒つくじゃないですか」
シュージン 「そんなの大問題になる、その挑発には乗れない」
サイコー 「…やろう、シュージン」
シュージン 「サイコー!? …まぁ編集長がOKすればいいけど…」
サイコー 「俺たちがこんなやり方に負けるはずない」
七峰 「僕には50人ものアドバイザーが居るんですよ?」
シュージン 「君にはそれを纏める力は無い、つーか誰だろうとそんなの無理」
誰かが纏めるんじゃねぇ、全員で纏まるんだ!
七峰せんせい、この青二才どもに正義の裁きを下してやりましょう。
再びネットミーティングにて。
> しかし、ありがちな設定だけに難しいぞ
> 正攻法もいいけど大どんでん返し
> いかに華麗にカッコよく勝たすか
> 感動の演説とバックボーンになる出来事なんてどう
七峰 (みんな真剣に意見を出してる、これならいける…!)
いやいや、いけないから。
dojyo >
それぞれの意見ももちろん大事ですけど、
読者の声を分析した結果を基にアイデアを練りましょう
NARUTO >
つまり…どういう事だってばよ?
dojyo >
y=βMから得られるのは漫画の基本的性質である面白さですから、
制御因子の水準値を変えて、読者との需要の誤差をマッチさせましょう
NARUTO >
お、おぅ
take20 >
俺が考えた先週のオチは上手くマッチしなかったもんな
nobuo >
下ネタだったけどな
…こいつらはクビでいいんじゃないのかな
boss >
なら、暖めておいたアイデアを使うのはどうだ?
SUGI >
おっ!ジャストインタイム発動きたーー!
take20 >
生徒会長に圧倒的不利な状況で立候補した生徒を勝たす話にするんだろ
今の展開で使えそうなのがあったはず
nobuo >
それならこれは…
七峰 (みんな真剣に意見を出してる、これならいける…!)
ついにTQCがここに成った…!
七峰せんせいの勝利も秒読み開始だ。
見ていろ少年ジャンプ…待っていろ亜城木夢叶!
―――
服部 「…3位だ」
シュージン 「3位!?」
サイコー 「『有意義』は!何位だったんですか!?」
服部 「…1位だ…見事だよ」
シュージン 「1位…そんな…」
サイコー 「敗北…破滅…挫折…、負けたっ…」
服部 「『PCP』に票を入れた人は、『有意義』の方も上位にして入れている」
本当にこの世は金と知恵ですね、亜城木先生。
実際のストーリーでは、七峰くんは亜城木コンビに惨敗します。
それは、七峰くん個人に原因があったのではなく、
やはり生産システム上に欠陥があったからだと思います。
逆に、システムに問題が無ければ、充分に勝つチャンスがあったと言えます。
道場主としては、やり方が間違ってるという結論で締めくくられたのは、
アンフェアであったのではないかと思っています。
このお話、後日談があります。原作では七峰くんが
「シンジツコーポレーション」という名前の漫画制作会社を設立して、
再び亜城木コンビの前に立ち塞がるのですが、
この会社ではモニターを雇い、読者の声を拾い上げるシステムにしてます。
で、シュージンの感想が前述のこれ↓
そう、今度のシステムは良く出来てるんです。TQC的に。
でも結果的に駄目だったのは、目標がはっきりしていなかったから。
「新世界の神になる」のが目的だったはずの夜神月が、
いつの間にか「Lに勝つ」のが目的となり、迷走していったのと同じ。
七峰くんは「亜城木に勝つ」事を目標にした時点で間違ってました。
「読者アンケート1位」を目指すべきだったんです。
PDCAサイクルも、導入すれば必ず成功する訳ではありません。
明確な目標、的確な分析は絶対条件となります。
単に計画を立てて実行するだけなら2ステップで済みますが、
形だけを真似るんだったら、余計な工数が増える諸刃の剣なんです。
しかし、おかしな点がありますよね…。
七峰くんが作ったのは紛れもなく「会社」なんですよ。
会社の経営目標がはっきりしないって、駄目でしょ、それ。
素人50人がやってる時はまだいいですよ。
でも、会社は事業内容を公表しなくちゃいけないんですよ。
実家がお金持ちだから銀行から融資を受けなくていいっつっても、
こんな所と一緒に仕事してくれるパートナー企業なんか見つかりっこねー。
諸悪の根源らしき、ひげのおっさん↑
名前が分からんけど、経営コンサルタントらしき人物も居ますよね…。
この人はいったい何をやってたんでしょうか。
私の目にはとても優秀な人物には見えませんが…。
つまり悪いのはこのおっさんだ。七峰せんせいは己が正義を貫いている。
このおっさんがプロの仕事をしなかったから、あんな目に…。
うんきっとそうだ、そういう事にしよう。
結論: おっさんは死刑
七峰せんせいは正しいんだー。
それさえ伝われば、私は他に言う事はありません。
ご清覧ありがとうございました。