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前回:覚者の剣(3)  最初から:覚者の剣(1)


株式会社ポーンシステムの派遣社員として異世界に派遣されたリン。
覚者神剣の伝承者・アドナイの下で働き始めるも、
恐るべき策謀によって先輩社員のルークを亡き者にしてしまった。


 中 世 紀 救 世 主 伝 説

 覚者の剣 第4話「汚物は消毒だ」



―――


> それでは、今週の定例会議を始めます。


あれから1週間。
私は元の世界とあっちの世界を行ったり来たりしている。



> 本日のアジェンダは、各自の週次報告と、
 クライアント評価についての発表になります。


ポーンシステム社では、週に1度、定例会議が開かれ、
あっちの世界で得たお役立ち情報を共有したり、
クライアントからの評価を採点してランキング発表したりしている。



> まず最初に、部長から一言、宜しくお願いします。


ギレン

> ギレン
 我々は一人の英雄を失った…。
 しかし、これは敗北を意味するのか?否!始まりなのだ!


あぁ…また始まったよ。ギレン部長の演説…。
長いんだよねぇ…、これ…。

具体的には2分15秒くらい続きそうな勢い。


> ギレン
 他社に比べ、我々ポーンシステム社の資本金は三十分の一以下である。
 にもかかわらず、今日まで戦い抜いてこられたのは何故か!?
 諸君!我々ポーンシステム社の派遣目的が正しいからだ!


どこも一緒だよ…。
あえて言うならロクでもないクライアントを紹介するくらいの違いはあるけどね。


> ギレン
 我らが社員、諸君らが愛してくれたルークは退社した!
 何故だ!?


坊やだからさ…(ボソッ


> ギレン
 社員よ!立て!悲しみを怒りに変えて!立てよ社員!!
 ポーンシステム社は諸君らの力を欲しているのだ!

 以上ッ!!


…。

あぁ、やっと終わった…。

ルークなんてやつはどうでもいいんだよ…!
私に任せとけっつーの。


> 続きまして、各自の週次報告に移りたいと思います。
 トピックのある方はお願いします。


> はい。

> ユウナさん、どうぞ。


ユウナ

> ユウナ
 お疲れ様です。


この人はユウナさん。
クライアント評価のランキング100位に入るほどの人気社員で、
今はYuminaさんというクライアントの下で仕事をしてるらしい。

なんでも、行方不明になった彼氏さんが
ザナルカンド地方に派遣されていたウチの社員さんだったそうで、
その彼氏さんを探す為にウチに入社してきたそうな。


> ユウナ
 先週、大量に仕入れたケモノ肉を3日間発酵させて
 価値の上がった所で売却をかける報告が上がっていましたが、
 これは市場で手に入れやすいニンジンやエダマメの方が
 より効率よく利益を上げられる事が分かりました。

 こちらの資料をご覧下さい。
 発酵させたケモノ肉は1ブロック1500Gで売却する事が出来ますが…

 ~

 以上です。


おお…!
さすがユウナさん!経済の事まで掘り下げているだなんて!

ケツ掘られてたどっかのヒゲ野郎とは違いますね!


※ アップデートにより、現在ではこの技を繰り返し使う事が出来なくなっております。


> では最後に、今週のクライアント評価についての発表です。

 課長、宜しくお願いします。

> やれやれだ…。


ジョナサン

> ジョナサン
 皆さん、お疲れ様。


この人はジョナサン課長。ポーズが無駄にかっこいいのが特徴だ。

強剛そうに見えて、実はかなりの老年。
山吹色の太陽エネルギー的な何かで若さを保っているらしい。
社員のお目付役も兼ねて新人教育を務めている。


> ジョナサン
 それでは、今週のクライアント評価と成績を発表します。


週次報告では毎週クライアントからの評価が5段階で発表される。
専属のみならず、サポートで入ったクライアントからの評価も集計され、
この良し悪しで月末の給与水準も決まるというスンポー。


> ジョナサン
 …はい次、リンさん。


おっ、待ってました!


・外見 ★★★
・戦闘 ★★★★
・貢献 ★★★



…?

あ…あれ…?
なんかビミョーじゃない?

特に「外見」が★3つってどういう事?


…や、やばい、このままでは初任給が悲惨な事になる!

これはもっとブリっ子に専念せねば!



> 以上をもって定例会議を終わります。
 皆さん、お疲れ様でした。


> ジョナサン
 …。

 リンさん、後でちょっとお話があります。
 向こうの世界で落ち合いましょう。


…ぬぬ。

なんだろう…?
もしかしてルーク先輩の件かなぁ…。

怖っ。


―――


課長、お疲れ様です。


> ジョナサン
 来たね、リンさん。
 わざわざ呼び出して済まなかったね。


いえ、問題ありません。

(話があるって、いったい…。)


> ジョナサン
 リンさんのクライアント評価、低かったのはなぜだと思う?


…!


> ジョナサン
 それはきっと、リンさんがクライアント様のご希望に
 まだ沿えていないんじゃないかな。

 面接の時に言われなかった?
 これってウチの会社の方針でも重要な事なんだ。


(…何も言えない。)


> ジョナサン
 ポーンシステム社の社員は、現場に感情を持ち込んではいけないよ。
 クライアント様に私情を挟むのもNGだ。


 表面で取り繕うのではなく、心からの忠誠を尽くす事。いいね?

 一度、あなたのクライアント様と話してみたらいいと思う。
 口調や性格、どんなものをお望みなのか。


あ…ありがとうございます!

(むうぅ…確かに言われてみればそうだわね。)


> ジョナサン
 ほら、肘掛から身を乗り出すようにしてリンさんを待ってるよ。
 すぐに行ってあげなさい。


…え?

…うわっマジだ、ちょー見てるし!


ケンシロウ

> アドナイ
 リンたん、話とやらはもう終わったのか?


(うう…「たん」付けすんなよキモいから。)

はい、お時間取らせてしまいました。


> アドナイ
 いや、それはいいのだ。
 むしろ俺以外の男性と親密に話してた事の方がだな(-`ε´-)


は…はは…そっすか。

(私情は禁物、私情は禁物…。)


…覚者サマはどういった子がお好きなんですか?


> アドナイ
 うむ…そうだな。
 
 個人的には、内気で恥じらいのある子が良い。
 リンたんは勝気すぎるきらいがあるが、それもリンたんの良い所だからな。


(そ…そっか、恥じらいね。)

例えば、こないだのハイドラみたいなやつの前で腰が引けちゃう子と、
2度とおいたをしないように積極的にぶち殴って奥歯を引っこ抜く子なら、
覚者サマはどちらを好まれますか?


> アドナイ
 リンたん…恐ろしい子…((;゚;Д;゚))

 難しい質問だが…、あえてそれに答えるなら、
 恐怖にその身を支配されても、一筋の勇気を振り絞って
 敵に立ち向かうような、そんな子を俺は好む。


(…この人たまに至言めいた事を言うわね。)


> アドナイ
 質問はそれぐらいかな?


は、はい、すいません急に変な事を聞いてしまって…。
私もそうなれるように努力します。

(努力はしてみるよ…。)


> ジョナサン
 お話は終わりましたかな。
 覚者様、お初にお目にかかります。

> アドナイ
 じいさん、何の用だ。


> ジョナサン
 私は、異界の品々を扱っております、
 ジョナサンと申す者…どうか見知りおきを。

> アドナイ
 そうか、リンたんと同じポーンの民の者であったか…。
 心配しちゃった、テヘッ☆


(くそう、ぶん殴りてぇ…。)


> アドナイ
 ところで、異界の品を扱っていると言ったな…。
 そこにある指輪も、あちらの世界の物か?


あ…あれは…!


プレミアムリング


> ジョナサン
 流石は覚者様、大変にお目が高くていらっしゃる…。
 こちらは「プレミアムリング」という装飾品にございます。


は…ハリーウィンストンの
プレミアムダイヤモンドリング(1.5カラット)ーーーーー!!!


なぜこんな高級ブランド品がこんな所に無造作に置いてある…!
てゆーかなぜ課長がこれを持っている!?


> アドナイ
 咲き乱れる花々の中に埋もれても、一輪の輝きを忘れない…。
 まさにリンたんにぴったりの指輪だな。

 これを所望しよう。おいくらだ?


え…ええええ…。

ちょっと待って、嬉しいけど…、それめっさ高いよ?
高級ブランドともなれば、0.1カラット=ほぼ10万円だぜ?

ええええーと…確かこの世界では1円=1リムとして計算していたはず。
1.5カラットのダイヤモンドリングであれば…


> ジョナサン
 1,500,000リムになりますが、宜しいですか?


や…やっぱりねー!


> アドナイ
 フッ…物の価値は値段では決まらぬ…。
 それを身に着ける者の品格によって決まるのだ!

 じいさん、それをくれ。買いだ!


> ジョナサン
 お買い上げ有り難うございます。


> アドナイ
 さぁ、リンたん。
 俺からのささやかなプレゼントだ、受け取ってくれ。


わ…私は、まだ何のお役にも立てていません…。
それに…こんな高価な物…。


> アドナイ
 ルークを失ってから、リンたんの笑顔も失われた気がする…。
 こんな石ころで足しになるかは分からんが、
 俺は少しでもリンたんに輝きを取り戻して欲しいのだ。


…!!

あ…有り難うございます。


> ジョナサン
 …。


―――


> メルセデス
 見えたぞ、領都グラン・ソレンだ!
 あと少しだ、さあ行こう!


リン

えっへへへへ~ .。*・.。*(〃´∀`)・.。*・.。*


> メルセデス
 ど…どうしたのだ、貴公の従者は…。
 ずいぶんと浮かれているが…。

> アドナイ
 フフ…萌えの極みだろう。


おっと…、私情は禁物だったわ。
いけないいけない、今はハイドラの首級を領都に運ぶ途中だった。


> フヒヒヒ…

ガサッ…


> アドナイ
 …そこに居るやつ、出て来い。


ヒャッハー

> 盗賊
 ヒャッハーーー!掛かれー!


モ、モヒカンの集団だぁぁぁ!
武装した敵が居ますよー!


> メルセデス
 くそっ、間もなく領都に到着するというのに…!


> アドナイ
 メルセデス殿は荷車の衛護を。
 連中は俺とリンたんで片付ける。

> メルセデス
 分かった。抜かるなよ!


くっそー!
せっかく人が久しぶりに気分良くなってたのに…!


> ヒャッハーA
 おぉ…?
 おい、あのガキ、光り物を持ってやがる!

> ヒャッハーB
 キヒヒ、ありゃぁ高く売れるぜ…!


あ?(╬゚Д゚)

これは覚者サマから頂いた大事な物なんだよ!


> ヒャッハーA
 おいガキ、そいつをよこしな、へっへっへ…。

> ヒャッハーB
 ヒヒッ、めんどくせぇ…。
 殺してから奪い取ろうぜぇ…!


…。


ヽ(´ー`)ノゴゴゴ…

━(ノдヽ)

━( 乂 )

━━━ヽ(゚Д゚)ノゴルァァア!!


上等だ!ぶっ殺してやる!


…ビリビリビリビリッ


うん?何だ…?

ゆ…指が痛いっ…!


バリバリビシーンッ!!


うぎゃあぁぁぁーーーーーっ!!

指輪がちょー締め付けてくるんですけど…痛てててーー!
うっーー、何だこれっーー!


> そんな事したって無駄だって。


…だ、誰よ!


バット

> バット
 悪ぃな、ジョナサンの旦那に頼まれてずっと尾けてたんだ。
 俺はお前のお目付け役を任されたバットって者さ。


ぐぐぐ…という事はこの指輪も…!


> バット
 察しの通り。
 ジョナサンの旦那が社員教育に用いるアイテムだよ。


くっそ…こんな指輪、外してやる!


<しかし、ゆびわには のろいが かけられていた!>


呪い

う…嘘でしょ!!


> バット
 そのプレミアムリングは内側に九字が刻んである。
 リムの碑石に刻まれている文字と同じやつな。

 かつての覚者・三蔵法師様が従者に使った頭の輪っか、
 ”緊箍児(キンコジ)”も、実はポーンシステム社製なんだぜ?


ちくしょ…う…、また…騙された…!


> バット
 現場に私情を持ち込もうとする社員は、
 その指輪の力で感情の高ぶりを抑制されるのさ。

 どうだ?身をもって理解できたろ?
 さながらお前は天意に背く「暴れザル」ってとこかな、ハハッ。


ハァハァ…ご、ごめんなさい…。


> バット
 まぁお前の邪魔をしに来た訳じゃないんだ。
 ここは俺に任せときなって。

 おーーい、覚者様よーー!
 この俺が助太刀してやるぜーー!



> アドナイ
 むぅ…ガチムチでない男の子には興味ないのだが…。


> バット
 へへっ、見てろよ…。


> ヒャッハーA
 なんだてめぇはーーー?

> ヒャッハーB
 おーーーっ?


> バット
 お…おおぅ…。

 …でかいな。身長いくつ?
 俺まだ中2だよ…?

 いや…でも…。
 まぁ、あれだ、何だ。

 女の子を、いじめるのは、よくない、なー


 …なんて。


> ヒャッハーA
 あぁん?

> ヒャッハーB
 殺すぞ?


> バット
 ちっ…くそっ。

 男はな…男はな…


 でかさじゃねぇんだよ!


ヤムチャ

> バット
 ごめん、無理でした…。


くそへたれがああぁぁぁーーー!!
さらっと下ネタ言った上に、2秒でやられやがって!


うう…こんな暴漢どもなんか相手にならないけど、
このうんこ指輪のせいで…。

こうなったら…指輪の力を発動させないように、
ブリっ子のまま、倒すしかない!!


> ヒャッハーA
 さぁて…、そろそろ金目の物を頂くとするか。

> ヒャッハーB
 ヒッヒヒヒ…おじさん達と遊ぼうぜぇ?


キャァーーーッ!!
いやぁーーやだぁぁーーー(死ねやゴルァ!

ドスッ!

> ヒャッハーA
 ぐはっ…


> ヒャッハーB
 おいおい、何やってんだぁ~?


来ないでぇーー怖いぃーーー(このダボハゼが!

ガスッ!

> ヒャッハーB
 ぎえっ…


> バット
 (´゚д゚`)ポカーン


(ふぅ…何とかなった…)


> アドナイ
 リンたん!そっちは大丈夫か!


覚者サマー、だいじょぶですー!
こっちはバットさんが片付けてくれましたー!



> バット
 え?…え?


> アドナイ
 リンたんを怖い目に合わせるとは…!
 許さん…!

ほおぉぉぉぁぁあたぁっ!


ドンッ!

覚者…残悔剣!


> ヒャッハーC
 うっ…!


これは708ある性感帯のうちの頭維(四合)と言ってな、
この剣を抜いてから3秒後に…お前は逝く。

その間に、己の罪の深さを噛み締めるんだな…。


> ヒャッハーC
 あ…あぁっ…ああああぁっ…
 あべ…しっ…!


―――


> メルセデス
 到着だ、皆ご苦労だったな。

> アドナイ
 うむ、ヤナセ殿もご苦労であった。


違いますよ!あってる気もしますけど!


> メルセデス
 では私はこのまま城に向かい、領王へ報告に上がる。
 お前は、追って達しのあるまで、この地に逗留するがよかろう。

 よし、城へ参るぞ、進め!


> アドナイ
 うーむ…、もう少し儚さを備えていれば、
 ストライクゾーンギリギリだったな。


まだ懲りてないんですか。


> バット
 いやぁ、一時はどうなるかと思ったぜ。
 さっそく飯にしようぜ、飯。


…。

(…おい、バット。)


> バット
  ∑(゚д゚ノ)ノ 呼び捨て!?


(てめぇ、今日から私の奴隷だかんな。)


> バット
 …え?

 俺いちおう主任なんですけど…?


(…さっき私の事を「暴れザル」とか言ってやがったな。)

(…どっちが上か思い知らせてやろうか?)


> バット
 あああ、アドナイ様…(i|!゜Д゚i|!)
 あいつあんな事を…


ドゴッ!


> バット
 ふぐっ…!


> アドナイ
 どうした、バット?お腹を押さえて。

> バット
 いいい、いや、何でもないっす…。
 急にお腹が痛くなって…。

> アドナイ
 ハハハ…それじゃ食事も取れんな…。


…うふふ。

(いい奴隷が見つかったぜ…ニヤリ。)



 第4話~完


―――


【次回予告】

 てーれってー(あの曲)

 領都グラン・ソレンに到着したアドナイとリンとバット。
 そこに、謎めいた黒衣の男が現れる。
 彼を追うメイソンと共に地下墓所に潜入した3人は、
 我が目を疑うような真実を目撃する!


 次回、覚者の剣
 第5話「俺の名を言ってみろ」

お前はもう…死んでいる!
 



ご清覧ありがとうございました。