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前回:覚者の剣(1)

就職氷河期のど真ん中で孤独に喘いでいたリン。
株式会社ポーンシステムに就職し、これで生活が安定したかと思いきや、
派遣社員として送られた先は、見知らぬ異世界だった…。


 中 世 紀 救 世 主 伝 説

 覚者の剣 第2話「覚者あらわる所、乱あり」



―――


…どこだここ。


> ルーク
 覚者様、こちらが従者となりますポーンにございます。

> アドナイ
 ぬうぅ…。

 も…萌えぇぇぇ。


そして誰この人たち?
なにやら英語で会話してるみたいだけど。


(´・д・)ハッ!

やだ…ワイルドなイケメン!


ケンシロウ

> アドナイ
 …。

 そこの少女、名は何と言う?


キャッ、低くて素敵なお声♪
わたしぃ、リンって言いますぅ~。


> アドナイ
 リンたん…。

 春の野風のごとき萌えっぷりだ(*´Д`)ハァハァ


…え?
…なにこのひと?


> ルーク
 ちょっと君、こっち来て…。


む、あっちのひげ面には興味無いんだが、まぁいっか。


> ルーク
 君、うちの会社の新人だよね?


あぁ、あなたが面接官の人が言ってた会社の先輩かぁ。
そうですそうです、今日からこちらでお世話になります。

で、あの変な目付きの人がクライアントさん?


> ルーク
 そう、あちらがクライアントのアドナイ様。
 そして君が居るこの場所はグランシス半島という所で、
 元の世界から見たら、いわゆる異世界に当たる。
 信じられないかもしれないが、君はここに派遣されてきたんだよ。


な、なんだってー!?


> ルーク
 この石碑こそ、我が社が開発した「Lease Introduce Module」、略して"リム"。
 石の力で派遣されてきた私達は、こちらでは"異界渡り(ポーン)"と呼ばれていて、
 ポーンはこの世界の救世主であられる"覚者"様に従う契約を結んでいる。


> アドナイ
 ゚+。(∩ω∩*)゚+。


…はぁ、そうっすか。

(なんとなくこの会社の事が分かってきたな。)


で、それはそうと、救世主ってどういう事ですか?


> ルーク
 …。

 私達は「ある目的」を果たす為に、遥か西へと旅している。


> アドナイ
 …そこからは俺から話そう。

> ルーク
 ハッ…、仰せのままに。


んん、何やら急に張り詰めた空気…。
どうやら訳アリみたいね。


> アドナイ
 あれは2日前、俺がカサディスの村でまだ漁師だった頃の話だ…。



―――



(平和だったカサディスの日常は、この日、終わりを迎えた。)


> ドラゴンだーーーーー!

 ドラゴンが来たぞーーーーー!!



なにっ!?


(突然あらわれた、あいつの手によって…!)


シン

> ドラゴン
 フフフ…。力こそが正義…いい時代になったものだ。
 強者は心置きなく好きな物を自分の物に出来る。


ば…ばかな…!
本物だ…。

なぜドラゴンがこの村に…!


> キナ
 キャァーーッ!


キナ!ここにいろ!
あいつは俺が食い止めてくる!


> ドラゴン
 フハハハ…くらえっ、竜者獄屠炎!


> うわあああぁぁぁぁぁーーー!


ぐっ…、コルテスがやられた…!
どこかに…武器は…?


…あった!


やめろ貴様、これ以上は好きにはさせん!


> ドラゴン
 ククク…死に急ぐか!
 お前など俺の敵ではないわ~~~!!

 死ねぇっ、竜者凄斬爪!


ぐぅはっ!


(強烈な一撃を受けて吹っ飛ばされた俺は、砂浜に背を埋める事しか出来なかった。)


…く…くそ…っ。

…うぐっ…。
…ダメだ…立てない。


> ドラゴン
 …。

 あれ…?
 やだ…この子あたいの超好み…!


 ちょっと起きて、あなたのお名前は?


り…竜語…?
う…ぐ…何を…言ってるんだ…?


> キナ
 アドナイーッ!起きてーーー!


> ドラゴン
 そう、あなたアドナイっていうのね。
 しゅてきなお名前ね。


に…逃げろ…キナーー!!


> ドラゴン
 う~んやだ惚れちゃう。
 ねぇ、試しにあたいを愛していると言ってみて?


…くっ…体が…動かな…い。


> ドラゴン
 あなたのたった一つの言葉でいいのよ。
 強制はしないわ、自分の意志で言うの。


あ…ぐ…ぁぅ…。


> ドラゴン
 なぁに~きこえんな~~!
 その程度であたいの心が動くと思っているのか~~!



(殺される…そう思ったが、あいつは俺に近づいてきた。)


> ドラゴン
 …まぁいいわ、見逃してあげる。

 その代わり、
あなたのハートを頂いていくわね。
 返して欲しかったら、必ずあたいにもう一度会いに来るのよ。

 いいわね、約束よ?


(そしてあいつの鋭い爪が、俺の胸に伸びてきた。)


> ドラゴン

 竜者虐指葬!


アッーーーーーーー!


―――


> アドナイ
 この時、俺の体にえもいわれぬ快感が走った…。


…は?


> アドナイ
 心臓を貫かれ、体中に電気が走ったような衝撃の後に、
 俺は知った…。

 これがオーガズムか!


…(∂△∂;)


> アドナイ
 再び目が覚めた時…。俺の胸には、大きな竜爪の傷痕と、
 あいつへの強烈な憧憬が宿っていた…。

> ルーク
 アドナイ様はこうして、穏やかな心を持ちながら
 激しい痛みによって絶頂に昇り詰められる事の出来るお方…、

 "覚者"として目覚められたのだ!



へ…、

変態


> アドナイ
 ちなみに、攻防どっちも行けます(キリッ


そういう目覚めかよ、聞いて損したわ!


> アドナイ
 という訳で俺達はドラゴンの居る遥か西に向かって旅をしているのだ。
 もう一度あの快感を教えてもらう為に…!


> ルーク
 私も初めての夜に教えてもらいました…。
 覚者様はまさに混沌とした世の救世主!
 ぜひともこれはドラゴンに会って、快楽の極意を学ばなければ!

 そこに逝けば~どんな夢も~ 叶うというよ~♪
  誰もがみな~イキたがるが~ 遥かな世界~♪


や…やばす。
こんな所と知ってたら絶対に応募しなかったのに…。


いーーーやーーーーー!!!



 第2話~完


―――


【次回予告】

 てーれってー(あの曲)

 ドラゴンに心臓を奪われ、覚者として目覚めたアドナイ。
 彼の向かう先には、幾度もの試練が待ち受けていた。
 激闘を重ね、成長を遂げるアドナイとリン。
 しかしそこには、悲しい結末が待っていた…!


 次回、覚者の剣
 第3話「お前の血は何色だ」


お前はもう…死んでいる!
 


ご清覧ありがとうございました。