漫画道場

漫画道場 漫画やアニメを学術的観点から考察・レビューします。



引っ越しました。
新ブログ「記号論研究所」を宜しくお願い致します。
URL→ http://semiotics.blog.jp/

2012年12月

【雑記】2012年人気記事ランキング ベスト10

こんにちは、道場主です。

2012年4月6日に開設したひよっこの当道場ですが、
幸運にも多くのアクセスを頂き、皆様には感謝の念に堪えません。
今年も残りわずか、1年の最後を締めくくる記事は、
これまで公開した71記事の中からトップ10を振り返ってみたいと思います。


―――


【2012年人気記事ランキング】

1位 『火垂るの墓』~節子の死の真因を探る

火垂るの墓 訪問者数 : 14128pv / 12971uu
   共有数 : 29ツイート / 5ブックマーク

  Google検索でWikipediaに次ぐ2位となり、
  コンスタントにアクセスを頂きました。 
  節子の死は単なる餓死ではないという分析から、
  その真因を導き出した考察記事です。



2位 ドラゴンズドグマ考察~ドラゴンと覚者とポーンに隠された意味

ドラゴンズドグマ 訪問者数 : 9813pv / 8252uu
   共有数 : 101ツイート / 2ブックマーク

  バックリンク数トップで、多くの反響を頂きました。
  発売前に得た情報から1ヶ月かけて考察し、 
  実際にプレイして分かった事を加えて、
  キリスト教義との共通点を解説しています。



3位 漫画・アニメファンの知られざる表現規制

女戦士 訪問者数 : 7807pv / 7198uu
   共有数 : 237ツイート / 38ブックマーク

  12月に書いた記事ながら、今年最大の反響を頂き、
  選挙期間中の集中アクセスで堂々の3位です。
  表現規制に関する是非を一覧に纏め、
  その背景について詳細を述べています。



4位 漫画・アニメファンの為の分かりやすい衆院選2012 公約要旨

衆議院

 訪問者数 : 5326pv / 4848uu
   共有数 : 29ツイート / 8ブックマーク

  漫画・アニメに関する各党の公約集です。
  経済対策と社会保障の両立を中心に見ています。
  政権与党が詐欺フェストを働いていないか、
  こちらでチェックしていきましょう。



5位 もしもIQ80の引きこもりが夜神月の『DEATH NOTE』を拾ったら

夜神月

 訪問者数 : 4676pv / 4424uu
   共有数 : 4ツイート / 3ブックマーク

  好評のネタ考察シリーズ第1弾です。
  夜神月が敗北に至った理由を明らかにし、
  その対処策をIQ80の凡人に実践してもらいました。
  なお、道場主は大場つぐみ先生のファンです。



6位 もしも乙女漫画の男子と萌え漫画の女子が付き合ったら

高梨奈緒

 訪問者数 : 3756pv / 3488uu
   共有数 : 15ツイート / 3ブックマーク

  ネタ考察シリーズの第2弾がこちら。
  社会問題化する男女の主客認識の溝を埋めるべく、
  完璧男子と萌え女子に付き合ってもらいました。
  オチを書きたかっただけです、はい。



7位 『ガンバ!Fly high』~内村航平が愛読した「楽しい体操」

藤巻駿

 訪問者数 : 3255pv / 2999uu
   共有数 : 14ツイート / 6ブックマーク

  ロンドンオリンピック特集の2回目です。
  森末慎二さん原作の体操漫画に描かれた、
  体操男子金メダリスト・内村選手の原点である、
  「楽しい体操」について振り返りました。



8位 『20世紀少年』 ~オトナ帝国の逆襲との共通点と「ともだち」の真の目的

20世紀少年 訪問者数 : 3100pv / 2903uu
   共有数 : 6ツイート / 4ブックマーク

  太陽の塔が残した昭和モラトリアムの中で生きる
  しらけ世代の新しい自己表現の方法を、
  1960年代と70年代の文化の違いから見た上で、
  『劇場版クレヨンしんちゃん』と比較しています。



9位 『仮面ライダーウィザード』~太陽暦と太陰暦が重なる意味

金環日食 訪問者数 : 2846pv / 2546uu
   共有数 : 9ツイート / 1ブックマーク

  月の重力が人体に及ぼす影響を「魔力」に、
  月と太陽の動きを「月日」に当てはめ、
  時間が前に進まなくなった人達に希望を与える
  今作のテーマについて考察しています。




10位 『YAWARA!』~今だから学びたい嘉納治五郎の「一本」の精神

猪熊柔

 訪問者数 : 2654pv / 2484uu
   共有数 : 8ツイート / 1ブックマーク

  ロンドンオリンピック特集の初回です。
  誤審問題が取り沙汰された柔道競技において、
  なぜ漫画の中では誤審が起きないのかを、
  ヤワラちゃんのおじいちゃんに学んでみました。



―――


改めて、当道場に訪問して下さった皆様、有り難うございました。

また、いつもニュースに取り上げて下さった痕跡症候群様、朝目新聞様、
見ず知らずの道場主を暖かく迎えて下さったアニプレッション様、
そして相互リンクサイトの皆様にも、全方位土下座で感謝です。


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この1年、本当にお世話になりました。
来年もまた、誰得記事製造マシーンの道場主を宜しくお願い致します。
  



ご清覧ありがとうございました。

【ネタ考察】もしも『バクマン。』の七峰透がデミングサイクルを導入したら



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↑悪の栄えた試しなし…なんてはずはない!


アニメ『バクマン。』も、ついに七峰くんが登場しましたね。

さて道場主は、原作で七峰くんが例の50人合議制を初披露した時、
亜城木夢叶は七峰くんに必ず敗北すると思っていました。
このやり方が漫画業界に一石を投じる提案であったのに対し、
サイコー達2人が七峰くんに宣言した「PCPで叩き潰す」の根拠が、
「そんなやり方はプロとして許せない」からという、
極めて曖昧な個人的主観に基づくものであったからです。
キミタチ、面白さ至上主義じゃなかったんかい。

ところが結果は、七峰くんの自滅という形で作品打ち切りとなり、
投じられた石が何の波紋も起こさぬまま、このエピソードは終わりました。
すっごく煮え切らない思いをしましたよ私は、ええ。

確かに七峰くんの方にも明らかな失点があり、
50人の意見を纏めるほどの力が無かった事実は存在します。
ですが、それは七峰くんのプロデュース力が否定されただけで、
合議制そのものが否定された訳ではありません。
それどころか、作品の面白ささえ継続できていれば、
漫画家先生の苦労を低減する、実に理想的な手法である事を、
後にシュージンも認めちゃっているのです。


では、七峰メソッドが完璧な管理の下で行われていたら、勝負はどうなったか?
編集との二人三脚で良質な作品を生む手法に勝てるのか?

邪道バトルの申し子・道場主が、これを考察してみたいと思います。


【その他のネタ考察】
 もしもIQ80の引きこもりが夜神月の『DEATH NOTE』を拾ったら
 もしも乙女漫画の男子と萌え漫画の女子が付き合ったら


―――


まず、勝敗の基準となる「面白さ」とは何ぞやという所から決めましょう。
漫画をテレビや自動車のように、1つの商品として見た場合、
漫画作品の面白さは「品質」の事であると定義出来ます。
モノ作りにおける製品、芸術活動における作品という違いがあるだけで、
顧客満足に応えるものであるか否かが、商品優劣を決定すると言えるでしょう。

品質は、時間をかければその分だけ良くなります。
しかし週刊連載を続けていく上では、時間をかける事は許されません。
従来の漫画作品は、時間と品質との兼ね合いによって生まれてきましたが、
品質に拘りすぎると、連載が継続できないケースも出てきます…。
時間と品質は、トレードオフの関係なのです。

で、もしこの品質を複数人でマネジメントしていくとしたら、
先生方を苦しめる時間的制約が一気に解消出来る可能性がありますし、
先週までは神展開だったのに今週の展開はいまいちといった、
品質のバラツキも未然に防ぎ、一定の面白さを保つ事だって容易になるでしょう。
時間短縮と品質向上が両立できちゃう、夢のようなお話です。


しかし、50人で面白いネタを考え、七峰くん1人が意志決定をするやり方では、
出来うる品質にも限界が生じ、必ず破綻を起こします。
面白さを判断するのは顧客であって、七峰くんではないからです。


七峰メソッドを管理図で表すと、こうなります。

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七峰くんは読者アンケートの結果が亜城木作品を越えられなかった理由を、
「レベルが高すぎて読者が理解できなかったから」と断じ、
読者より50人の力を信頼していたがゆえに、まともに分析してません。
しかもこの50人の中にも、顧客ニーズを作品に取り入れようとした人が居ません。
仮にも編集経験者とか居るんだろ? 勝負の2話目()とかいう眉唾より、
少しでも読者に満足してもらえるアイデアを出せよマジで。

作品の品質を上げる為には、読者が何を望んでいるかを正確に把握し、
計画方針の段階からそれを落とし込まなくてはなりません。
品質学の観点から見た場合、七峰メソッドは工程管理(SPC)に優れていて、
漫画家1人でやるより効率的に作品を作る事に成功はしていましたが、
読者の声を拾い上げるシステムがこの時はまだ構築されておらず、
珠玉のアイデアが誰得状態になっていたと考えられます。

これを改善するには、品質管理(TQC)という別の手法によって、
顧客ニーズを専門的に分析する人達を50人の中に加え、
それぞれの能力に応じて人員を適切に配置する必要がありました。


引用:環境と品質のためのデータサイエンス

 SPC: Statistical Process Control
   → 品質のバラツキを管理し、品質向上に繋げる手法。
 TQC: Total Quality Control
   → 品質目標を決め、50人の総力を結集して管理する手法。


世界で最も有名なTQCは、トヨタ自動車の「カイゼン」です。
効率化の理念を、期間工や掃除のおばちゃんまで社内の隅々に浸透させ、
全ての社員が同じ目標に向かって継続的な改善を行っています。

七峰メソッドの問題点は、盛り込んだアイデアが顧客満足に繋がっていない事と、
アイデアの選定を七峰くん1人で行っていた事です。
これらをTQCの適用によって、具体的に「カイゼン」してみましょう。


―――


七峰メソッドに顧客の声を反映した管理図がこちらです。


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従来のシステムでは、七峰くんのお眼鏡に適う面白いアイデアであれば、
読者アンケートの結果に関係なく作品に取り入れられてきました。
これが原因で、需要と供給の不一致を起こしていたと考えられます。

新システムでは、読者アンケートの結果を分析し、
抽出された要因から導かれる改善案を基にアイデアの選定を行う事で、
生産リソースを無駄なく作品に伝えられるようにしています。
このように、PLAN→DO→CHECK→ACTIONの4段階のサイクルを
ぐるぐる回して継続的な改善を行い、品質向上に繋げる手法を、
それぞれの頭文字を取って、PDCAサイクルと呼びます。
アメリカの統計学者、エドワーズ・デミング博士が完成させて、
戦後の日本企業に持ち込んだ考え方です。

PDCAサイクルの中で最も重要なのは、CHECK=評価です。
成功要因(Signal)と失敗要因(Noise)をどれだけ正確に抽出できるかが、
このサイクルを円滑に回す為の分かれ道になります。
ですが安心、品質学には2つの要因(SN比)をパラメータ化して評価する、
タグチメソッドという魔法のような手法があります。
田口玄一さんという日本人工学者の方が編み出した秘奥義で、
これを使いこなせば、改善もスムーズに進みます。
どうせだからこれもPDCAサイクルに組み込んじゃいましょう。


七峰くんもいくら頭が良いと言っても、ただの高校生です。
彼にはブレーンが必要であり、それは漫画に詳しい50人()とかでなく、
いかにして品質=面白さを継続させるシステムを考え、
頭の良い七峰くんを納得させうる人材こそが望まれました。
なので、新人編集の小杉くんも、アプローチの仕方を間違えてるんです。
やり方が正しいとか間違ってるとか、主観的な話はどうでもいい。
七峰メソッドでは面白い作品が継続できない事を論理的に説明すべきでした。

もしも七峰くんがデミング博士のマネジメントシステムを導入していたら、
旧態じみた亜城木ごときの根性論には敗れたりはしていません。
ここからは道場主が七峰くんのアドバイザーとして50人の中に加わり、
勝利へのプロセスをシミュレートしていきましょう。


―――


サイコー 「ネットで意見してもらって作品を作るなんて…!」

シュージン 「作品は邪道でもいいけど、作り方が邪道じゃ駄目だ!」


七峰 「編集に頼ってるうちは、自信の無いアマチュアですよ…」


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サイコー「プロを舐めない方がいい、そんなやり方、いつか必ずボロが出る!」

シュージン 「お前を10週で打ち切りにしてやる!」


…(゚Д゚)ハァ?


七峰 「勝ち負けは結果です…新しい友情・努力・勝利を見せてあげますよ」


亜城木なんとかの前で啖呵を切った、我らが七峰せんせい。
さっそく仕事場でネットミーティングを行います。


nanamine >
 1話目、速報で2位でした


ta1 >
 1話目はあれでいい、勝負は2話目!

SUGI >
 おっ!編集経験者 ta1さん! どういうこと?

ta1 >
 大事なのは2話目で負けないこと
 亜城木が何か仕掛けてくるなら2話目と予想する



駄目だこいつら…早くなんとかしないと…


dojyo >
 2位じゃ駄目なんでしょうか(キリッ


SUGI >
 おっ!元新聞記者 dojyoさん!どういうこと?


dojyo >
 大事なのは現状を分析すること
 SN比の最適条件を尺度にロバスト設計しましょう

SUGI >
 お、おぅ


dojyo >
 アイデアは詰め込みすぎるものでなく…


こうして50人に品質学をレクチャーし、七峰せんせいの了解を得て、
話作りの上手い人は物語のアイデアを、編集経験者や私は情報分析をと、
人員をそれぞれの担当ごとに振り分けていきます。


dojyo >
 …という風に、SN分析によってアイデアの取捨選択をしていくんです

nanamine >
 なるほど、それなら客観的に判断できますね


SUGI >
 でも面白いアイデアなら積極的に取り入れた方が、
 順位は上がるんじゃないの?

ta1 >
 『H×H』の冨樫も言ってたな、アイデアは暖めておくって
 使えるネタをここぞって時に出す方がより面白いって事だろ


流石にみんな理解が早い…必要なアイデアを必要な時に必要な分だけ使う、
これぞトヨタ自動車に伝わる必殺技・ジャストインタイム!


dojyo >
 アシスタント14人に、アイデアマンとデータアナリストが50人、
 全員の総力を結集させれば、作品の質を継続できますよ

nanamine >
 よし、この方法で行きましょう!


くっくっく…亜城木め、ネットの力を舐めるなよ。


―――


亜城木夢叶


サイコー 「ええーーーーーっ!?」

シュージン 「本ちゃん4位!?」



服部 「2位の『有意義な学園生活に必要なソレ』に票を奪われている」


サイコー 「七峰くん、2話目で急に絵のクオリティが上がったんだよな…」

シュージン 「
それだけじゃない、3話目以降は詰め込みすぎの読み難さが無くなってる


それがTQCによる「カイゼン」の結果ですぜ。


七峰 「ご無沙汰してます、亜城木先生…フフフ」

シュージン 「…七峰くんっ?」

七峰 「ほぉら、僕が正しかった…こんな新人、過去に居ます?」

シュージン 「俺たちは、俺たちの『PCP』をしっかりとやっていくだけだ」


七峰 「フフ…亜城木先生は勘違いをされてるようですね」

サイコー 「何っ!」

七峰 「ネットの力を、50人の横の繋がりをね」


そう、亜城木コンビは最初から勘違いをしているんです。
ネットで見つけた50人を、統率の取れないバラバラの集団だと決め付けている。

なぜ七峰くんがネット上で漫画に精通した50人を見付ける事が出来たのか?
それは、この50人が何らかの情報を発信していたからに違いありません。
そしてそれらの情報は、同じコンテクストを持つ人達に共有され、
ソーシャルメディアを経由して横の繋がりを生むのです。
2chで面白発言してる人をテキトーに選んでるとか、そんな訳がない。

でもって彼らが発信する情報は、Noise要因が予め取り除かれています。
Signal要因だけを共有するリテラシーが、50人にはあるんです。
それぞれの価値観が違ったとしても、それぞれを理解し合う人達を、
統一された目標の下で適切にマネジメントしていけば、
大きな成功を得るのは、決して難しい事ではありません。
オウンメディアを活用する実際の企業運営と考え方は全く同じです。

真城くんはともかく、高木くんまでネット=2ch的なものだと思ってるのが、
道場主としては全くもって得心がいかないですね。 
玉石混交の「石」の部分しか見てないとしか思えません。 



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七峰 「どうせなら同じ話で勝負しませんか?簡単に白黒つくじゃないですか」

シュージン 「そんなの大問題になる、その挑発には乗れない」


サイコー 「…やろう、シュージン」

シュージン 「サイコー!? …まぁ編集長がOKすればいいけど…」

サイコー 「俺たちがこんなやり方に負けるはずない」


七峰 「僕には50人ものアドバイザーが居るんですよ?」

シュージン 「君にはそれを纏める力は無い、つーか誰だろうとそんなの無理」


誰かが纏めるんじゃねぇ、全員で纏まるんだ!
七峰せんせい、この青二才どもに正義の裁きを下してやりましょう。



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再びネットミーティングにて。


> しかし、ありがちな設定だけに難しいぞ

> 正攻法もいいけど大どんでん返し

> いかに華麗にカッコよく勝たすか

> 感動の演説とバックボーンになる出来事なんてどう



七峰 (みんな真剣に意見を出してる、これならいける…!)


いやいや、いけないから。


dojyo >
 それぞれの意見ももちろん大事ですけど、
 読者の声を分析した結果を基にアイデアを練りましょう

NARUTO >
 つまり…どういう事だってばよ?


dojyo >
 y=βMから得られるのは漫画の基本的性質である面白さですから、
 制御因子の水準値を変えて、読者との需要の誤差をマッチさせましょう
 
NARUTO >
 お、おぅ


take20 >
 俺が考えた先週のオチは上手くマッチしなかったもんな

nobuo >
 下ネタだったけどな


…こいつらはクビでいいんじゃないのかな


boss >
 なら、暖めておいたアイデアを使うのはどうだ?

SUGI >
 おっ!ジャストインタイム発動きたーー!

take20 >
 生徒会長に圧倒的不利な状況で立候補した生徒を勝たす話にするんだろ
 今の展開で使えそうなのがあったはず

nobuo >
 それならこれは…



七峰 (みんな真剣に意見を出してる、これならいける…!)


ついにTQCがここに成った…!
七峰せんせいの勝利も秒読み開始だ。

見ていろ少年ジャンプ…待っていろ亜城木夢叶!


―――


真城最高


服部 「…3位だ」

シュージン 「3位!?」 

サイコー 「『有意義』は!何位だったんですか!?」

服部 「…1位だ…見事だよ」


シュージン 「1位…そんな…」

サイコー 「敗北…破滅…挫折…、負けたっ…」

服部 「『PCP』に票を入れた人は、『有意義』の方も上位にして入れている」


本当にこの世は金と知恵ですね、亜城木先生。


実際のストーリーでは、七峰くんは亜城木コンビに惨敗します。
それは、七峰くん個人に原因があったのではなく、
やはり生産システム上に欠陥があったからだと思います。
逆に、システムに問題が無ければ、充分に勝つチャンスがあったと言えます。
道場主としては、やり方が間違ってるという結論で締めくくられたのは、
アンフェアであったのではないかと思っています。


このお話、後日談があります。原作では七峰くんが
「シンジツコーポレーション」という名前の漫画制作会社を設立して、
再び亜城木コンビの前に立ち塞がるのですが、
この会社ではモニターを雇い、読者の声を拾い上げるシステムにしてます。


で、シュージンの感想が前述のこれ↓

高木秋人


そう、今度のシステムは良く出来てるんです。TQC的に。
でも結果的に駄目だったのは、目標がはっきりしていなかったから。
 
「新世界の神になる」のが目的だったはずの夜神月が、
いつの間にか「Lに勝つ」のが目的となり、迷走していったのと同じ。
七峰くんは「亜城木に勝つ」事を目標にした時点で間違ってました。
「読者アンケート1位」を目指すべきだったんです。

PDCAサイクルも、導入すれば必ず成功する訳ではありません。
明確な目標、的確な分析は絶対条件となります。
単に計画を立てて実行するだけなら2ステップで済みますが、
形だけを真似るんだったら、余計な工数が増える諸刃の剣なんです。


しかし、おかしな点がありますよね…。

七峰くんが作ったのは紛れもなく「会社」なんですよ。
会社の経営目標がはっきりしないって、駄目でしょ、それ。

素人50人がやってる時はまだいいですよ。
でも、会社は事業内容を公表しなくちゃいけないんですよ。
実家がお金持ちだから銀行から融資を受けなくていいっつっても、
こんな所と一緒に仕事してくれるパートナー企業なんか見つかりっこねー。


シンジツコーポレーション

           諸悪の根源らしき、ひげのおっさん↑


名前が分からんけど、経営コンサルタントらしき人物も居ますよね…。
この人はいったい何をやってたんでしょうか。
私の目にはとても優秀な人物には見えませんが…。

つまり悪いのはこのおっさんだ。七峰せんせいは己が正義を貫いている。
このおっさんがプロの仕事をしなかったから、あんな目に…。

うんきっとそうだ、そういう事にしよう。


 結論: おっさんは死刑


七峰せんせいは正しいんだー。
それさえ伝われば、私は他に言う事はありません。
  


ご清覧ありがとうございました。

【雑記】漫画・アニメファンの知られざる表現規制


女戦士
 
↑海外ではアウトだった表現(ビキニ女戦士)の例。



12月16日に迫ってきた第46回・衆議院議員総選挙。
日本中が選挙モードに入ってきた感じですね。

前回は、「漫画・アニメファンの為の分かりやすい公約要旨」と題し、
経済対策と社会保障を中心に各党の関連マニフェストを見ていきましたが、
 「てゆか表現規制ってどうなってんの?」というお声を多く頂き、
表現の自由に対する関心の高さを伺う事が出来ました。

という事で今回は、漫画・アニメファンと規制問題について、
まじめに考えてみたいと思います。


―――


結論から言いましょう…。

実は…諸々の規制化に関しては選挙の争点にならないんですよ。
なぜなら、社民党以外は公約にすらしていないからです!


 _人人人人人人人人人人人人人人_
 >    な なんだってー!!    <
  ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
   (; ・`д・´)   (`・д´・ (`・д´・ ;)


例えば自民党はですね、公約原案の中では表現規制を謳ってます。

【自民党選挙公約案】
 www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/j_file2012.pdf

 188. 家族の絆を深め、家庭基盤を充実させ、全員参加型社会の実現へ
   → 「青少年健全育成基本法案 」の法整備など総合的な施策を推進 します。


ところがこの一文は、選挙用に作った公約集の中から外してあります。


公明党も同様に、政策集の中に規制に関する文言がありますが、
PDF資料の中では明らかにしていないんです。

【公明党政策集】
 公明党政策集 Policy2012 | 重点政策 manifesto2012 | 公明党 衆院選2012

 ・ 人権が尊重される社会の構築
   → 児童ポルノの所持等を処罰する罰則を新設します。


両党とも、反対や慎重意見が多い事は承知しているはずなので、
文言削除は選挙対策と見て間違いありません。あぁ恐ろし。


問題は、反対を唱える政党の公約の中でも明文化されていない所です。
チルドレンファーストを謳う民主党や、前回の参院選で規制反対を訴えた共産党なども、
デリカシーに触れる文言の一切を公約集に載せていません。

これもまた、それぞれの政党を支える人権団体に配慮しての事だと思われますが、
有権者としては、非常に分かりにくいったらありませんよね。


そこで、各党の表現規制に関する是非を一覧化してみました。
誤りがあれば遠慮なくご指摘下さいませ。



表現規制


基本的に、保守系の宗教団体を支持母体とする政党は賛成で、
リベラル系の労働団体を基盤とする政党は反対と見ていいと思います。



よって、いまいち政党カラーのはっきりしないみんなの党も、
バックにある統一教会が純潔教育を謳い、規制に賛成するデモまでやってますから、
リベラルを旗印に掲げておきたい渡辺さんの本音の部分は賛成だと見ています。

創価学会が母体となる公明党や、神道政治連盟と仲良しな自民党議員の一部も、
表現規制に全面的に賛成してますし、そういう声明も発表してます。
あくまで前提としての話で、もちろん党内には反対意見もありますが、
我が国は政教分離が鉄則なので、こういった声に党が引き摺られる事は、
本来であれば、あってはならないはずなんですけどね。


他を見ていくと、未来の党と維新の会は党内意見が纏まっておらず、
未来の場合は、党首・嘉田さんが規制賛成派の人達とお付き合いがある一方で、
民主党から離党してきた人達はこぞって反対してますし、
維新に至っては、そういう議論すら交わされた事がないと見られ、
今の所はっきりしてるのは、太陽の党からの合流組は規制に賛成しているくらいです。

また、社民党は人権団体の声も反映して、現物(ソフト)規制には賛成しており、
そしてみんなの党は、強固に賛成してた人が参院選で落選しちゃったので、
表現(フォーマット)規制に関しては反対意見の方が多くなりました。

こうなると、表現規制法案不成立のキャスティングボートを握るのは、
未来と維新の党内合意がどうなるかと、みんなの党がどちらに付くかですね。
反対の意志表示をしてる人は多いので、それを応援してあげるのもいいかも知れません。
まぁぶっちゃけ言うと、どっちに付くか分からない政党より、
どっちかはっきりしてるとこに投票しちゃえばいいんでしょうが(爆)。


 【選挙後の追記】
  未来の党では規制反対派がほぼ全滅し、賛成派が比例で復活したので、
  政策協議の結果次第では、賛成に回る可能性が出てきました。


―――


では、賛成派がここまで規制に躍起になる理由とは何なのか。

有識者の中では「倫理の上で不適切」だからという意見が大半ですし、
そういった暴論なら、漫画・アニメファンが異論を唱えるのは当然でしょう。
この国には、憲法で定められた「表現の自由」があるのです。
どちらの意見が誤りであるかは明白ですしね。

さらに、規制論の大半は、一部の声のでかい保守系の団体によって、
誤った方向に拡張されてきた経緯がありますので、
極めて観念的であり、ゆえに突っ込み所が多いんですが、
そうした声にかき消されてきた、まともな意見というのもあるんですよ。


表現規制の真の問題は、生産リソースが制限される事で、
漫画・アニメの市場規模の減少に繋がりかねない所
にあります。
実際に、ゲーム業界ではいち早く暴力・性表現への規制を実施した結果、
いわゆるZ指定の市場を海外企業に根こそぎ奪われてしまいました。

リソースの話をすると、そもそもなぜ生産者人口の少ない日本で、
漫画やアニメがこれほどまでに高度化したのかと言えば、
野球と同じく、アマチュア市場での技術水準がぶっちぎりで世界一だからです。
プロ並みの絵が描ける人が、アマチュアレベルでごろごろ居る。
そういった状況の中で、例えば「萌え」のような絵がけしからんからと、
「萌え」に通じる全ての表現を禁じたらどうなるか?
当然、プロになる人材が減り、従って生産供給力も落ちます。

要するに、倫理上の理由を挙げて表現規制に賛成してる人達は、
「炎天下での素振り練習を禁じよ」と言ってる高校野球の父兄さん方と同じで、
それをやると生産性が落ちてしまう事を考慮に入れてないのです。
特に表現力は、商品で言う付加価値に当たる部分ですので、
規制化を進めるなら、商品力を高めるそれなりの対案を示す必要があります。


そして実はその対案こそが、クールジャパンなのです。

ここまで見てきたのは、あくまで国内市場での話であり、
日本では付加価値として認められる表現が、海外市場に目を向けると、
嫌悪の対象として輸出の障害になるケースが多々あります。
あのアメリカですら『ドラクエ3』のビキニ姿の女戦士に服を着せてますし、
日本で一般的な表現方法は、海外では一般的ではありません。
「萌え」の扱われ方なんて、絵を見せたら顔をそむけられるほどです。


女戦士・改

   ↑ 女戦士(日本)         ↑ 女戦士(海外)


大方はソフトをローカライズする際に修正されていますが、
問題が表現方法に根ざしている場合だと、全部にモザイクをかけるとか、
馬鹿げた修正を加えなくちゃいけなくなるので、それなら初めっから、
日本から輸入しなくていいや、という事になりかねません。

そこで考えられたのが、ソフトではなく、フォーマットを規制する事。
「デザインに起こす段階で女戦士のビキニの着用を止めさせる」という発想です。
純粋教育という実に都合の良い賛成論も転がってましたから、
そうした保守系の団体に規制化の旗振りを任せる事になったんですが、
結果として議論がおかしな方向に進んでいっただけで、
本当は経済事情を根拠とした、海外に市場展開する為の増収政策なのです。
クールジャパンと表現規制は、もともと1セットだったんですよ。

つまり今回の衆院選は、国内の市場を伸ばして内需を高めるか、
海外に市場を広げて外需を獲得するかの二択選挙であり、
表現規制に対する是非は、TPPの問題と非常によく似ているという訳ですね。


―――


しかしながら、漫画・アニメの市場は8割が内需で占められており、
残り2割の外需シェアを拡大する為だけに、国内市場を犠牲にするような政策は、
あまりにも短絡的と言わざるをえないでしょう。


貯蓄残高

↑日本の銀行の預金超過額の推移(単位:十億円)。水色に注目。

引用: 第81回 法人税引き下げと泥縄式対策(2/3)


日本の銀行預金の貯蓄残高は、何と160兆円あります。過剰貯蓄の国です。
クールジャパンが本当に増収を目的とした政策であるのなら、
これだけ巨大な内需の掘り起こしを真っ先にやるべきなんです。

つまり今必要なのは、国内需要を喚起する為の政策であり、
それを阻害する安易な規制には断固として反対していかなければなりません。


嫌消費世代と言われて久しい若年世代ではありますが、
実際はただの消費傾向の変化に過ぎず、中でも漫画・アニメファンは、
新しい消費の中心となって、日本経済を影から支えてきました。
『エヴァ』の新作が発表されればこぞって映画館に足を運び、
テレビで『ラピュタ』をやれば視聴率20%越え、みんなで「バルス!」と叫びます。
アニメの主題歌がオリコン1位を獲得する時代において、
オタクはもはや少数派ではなく、多数派になっているんですよ。

その為にも、今度の衆院選では、我らが漫画・アニメファンが1つになって、
数で圧倒しようとする規制賛成派に負けない声を上げていくべきだと思っています。
若年世代の投票率が上がらないのはDQNのせいにでもして、
私達オタクこそがマジョリティである事を証明しようじゃありませんか。

…だんだん選挙演説みたいになってきましたね。


ともあれ、審判の日まであと1週間。
今週末には、いよいよ日本の行く末が決まります。

当日はもちろん、ゲームの発売日並みに迷わず投票所へゴーです。
時間を作れない人は期日前投票を済ませておきましょう。
夜の8時にはテレビを付け、落選議員をプゲラする準備もお忘れずに。

皆さんの一票でこの国の未来が少しでも良くなる事を祈り、
この記事を終えたいと思います。



ご清覧ありがとうございました。

【雑記】漫画・アニメファンの為の分かりやすい衆院選2012 公約要旨

ブログネタ
第46回衆議院議員総選挙(平成24年12月16日施行) に参加中!

衆議院選挙


さぁいよいよ、日本の将来の行く末を決める、
第46回・衆議院議員総選挙が、本日4日に公示されました。

原発の是非、消費税増税の是非、TPP参加是非、など、
色んな政策をめぐって新党が乱立し、戦国模様を呈してきた訳ですが、
漫画やアニメに関する政策ってどうなってんの?」ってとこが、
テレビなどのニュースを見ても、よく分かりませんね。

そこで今回は、漫画およびアニメファンの方々に、
いったいどの党に投票すれば良いのかを判断してもらえるように、
各党の関連マニフェストの要旨をまとめてみました。


追記: 表現規制の政策一覧についてはこちら


―――


※ 以下、前置きが続きます。結論だけご覧になりたい方は、
  主要各党の政策一覧まで読み飛ばしちゃって下さい。



まず明らかにしなければならないのは、漫画・アニメファンの定義です。
問題だけを大づかみに取り上げても、それを構成する要因は様々。
深夜アニメクラスタも居れば、ジブリしか観ない層も居るので、
ターゲットがどこに設定されているのかを把握しておく必要があります。

ここでは、矢野経済研究所の2011年のデータを採用し、

 ・ 漫画923万人、アニメ1,048万人。実質推定人口1200万人。
 ・ 20代~40代までが大半。
 ・ 男性65%:女性35%と、男性が多い。
 ・ それ以外のコンテンツ(ゲームやアイドル市場など)は除く。

以上のように定義します。「オタク」を自覚しつつ、
漫画やアニメにある程度お金を使うユーザー全般の事です。

参照:2011 クール・ジャパンマーケット/オタク市場の徹底研究

オタク人口

 ↑    =漫画・アニメファンの人口分布。
  (てきとーにイメージ化したものです。あくまでイメージ。)



前回2009年の総選挙の時の有権者の平均年齢が52.4歳で、
投票率や1票の格差を反映すると60歳以上が過半数を占めています。
若い世代の意見がほとんど反映されない事情がありますが、
逆に言えば、どの党が若年層の抱える問題を親身に考えているかというのが、
政策として見えてきやすいという事でもあります。


―――


続いて、 漫画・アニメファンを取り巻く諸問題について。
制作会社の問題、制作者の問題と、ユーザーの問題の3つに大別されます。


【制作会社の問題】
 ・ 市場規模の減少
 ・ 不健全な下請け取引の常態化

【制作者の問題】
 ・ 劣悪な労働条件
 ・ 海賊版の横行

【ユーザーの問題】
 ・ 正規雇用の減少
 ・ 雇用のミスマッチによる早期離職



現状として、漫画・アニメ産業の市場規模は5年以上連続で減少しています。
上記のような問題が複合的な要因となっている為で、
どれか1つに絞って対策を打っていても、問題は解決しません。

例えば、あなたの持ってるパソコンの処理速度が停滞してるとして、
CPUだけ上げるとか、メモリだけ増やすとかはしませんよね。
部分的ではなく、全体を最適化しなければ効果は低いままでしょう。
 
ただし、やるべき事には優先順位を付けなくてはなりません。
その為に少しマクロ的な観点から経済を見てみると、
現在の日本は、21年連続バランスシート世界一の国です。
経常収支はずっと黒字なのですが、近年は黒字幅が減ってきています。
マスコミがしきりに「国の借金」と言ってるのは、実際は「政府の借金」の事で、
確かにこれ以上増えるとまずい事はまずいのですが、
ぶっちゃけ今の経済状況において優先順位が高いのは、
「借金を減らす事」でなく、「収入を増やす事」にあります。


バランスシート

参照:「国の借金」意味分かって使ってる?:日経ビジネスオンライン


つまり重要なのは、

 (1)  適切な処方箋(増収目標)に基づいた投薬(投資)を行っている事
 (2)  副作用(減収につながる副因)を抑える薬も処方されている事


という全体最適化によって、英国病ならぬ「日本病」にかかってしまった
漫画・アニメ産業に根源治療を施し、救う事でしょう。


よって、漫画・アニメファンに向けた政策案の絞り込みを行うとしたら、


【制作会社に向けた政策】
 ・ 電子書籍化やネット配信の強化、それらの海外輸出など、
  コンテンツ産業育成と経済再生の具体的な方法を公約としている。

【制作者に向けた政策】
 ・ 漫画家・アニメーターの労働条件を改善するものである。

【ユーザーに向けた政策】
 ・ 漫画やアニメを支える20代~40代を主とした男性の雇用を、
  最低限の範囲で保障している。


こういった政策を余さず盛り込んでいる所が、漫画・アニメファンにとって
票を託すべき政党と言えるのではないでしょうか。


―――


前置きはここまで。

 
それでは、実際に主要各党の公約要旨の一覧を見ていきましょう。
独断と偏見による評価(最高★5つ)も行ってます。
誤りがあればご指摘下さい。異論・反論も受け付けております。


【公約要旨まとめ】

政策一覧


【民主党】
原本:www.dpj2012.jp/pc/common/pdf/manifesto.pdf

2- 経済(制作会社) ★★
  1. 環境・エネルギー分野を主要産業へと育成し、雇用を拡大する。
  4. 中小企業への支援を強力に行う。
  6. クールジャパン関連の市場規模を9.3兆円(2016年)に拡大。
     国内外のイベント開催や海外放送などで発信を高める。

1- 社会保障(制作者・ユーザー) ★★★★★
  3. 最低賃金の早期引き上げを、企業支援とセットで行う。
     非正規雇用の問題に引き続き取り組む。
     雇用の維持と拡大を明確にし、環境・医療の分野で産業育成を進める。
     新卒世代を中心とした若年者雇用の促進。
  11. 独創性ある新たな文化芸術の創造を振興する。


一見すると必要な事はきっちり押さえられてる見えますが、
再生可能エネルギー事業を経済再生の根拠とするにはいささか弱い上、
何を成長戦略の柱とするのか具体的な明記がなされておらず、
クールジャパン関連の施策はPR活動のみという残念すぎる宣言。
党の想定の中にも、漫画・アニメ産業の育成は入ってないようですから、
「おまえらの事はちゃんと考えてやってるんだぜ」感を出す為の、
見え透いた建前である可能性もあり、政策の実行性に疑いの余地が残ります。

ただ、最低賃金の引き上げや、非正規雇用の問題化など、
漫画家・アニメーターの労働条件改善ともリンクする政策は謳われており、
民主党の支持基盤である労働組合の意見が強く反映されていると言えます。
経済界の意見と戦わせるだけのビジョンはあるんでしょうし、
ILOの後楯もありますから、この辺はまず守られると見るべきでしょう。


【自由民主党】
原本:www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/seisaku_ichiban24.pdf

 ● 経済成長(制作会社・ユーザー) ★★★★★
  ・ 縮小傾向の分配政策→成長による富の創出への転換。
  ・ 産業投資と貿易の双発型エンジンで「ハイブリッド経済立国」を目指す。
  ・ 日本経済再生本部を立ち上げ、日本経済再生・産業競争力強化法を制定。
  ・ 産業競争力会議を設置し、産業の育成と戦略目標の設定を行う。
  ・ 国際経済戦略会議を設置し、クールジャパンの国際展開を進める。

 ● 地方の重視・地域の再生(制作会社・ユーザー) ★★★
  ・ 中小企業予算を倍増し、資金繰りをサポート。
  ・ 地方経済の支援によって雇用を創出。
 (※ 最低賃金の引き上げは方針としてあるけど、公約には無いみたい。)

 ● 社会保障(ユーザー) ★★★
  ・ ハローワークの機能強化等により、ジョブマッチングを進める。


なんでしょうか、民主党政権の3年間を見た後の、自民党の安心感は。
きっちりと成長戦略の柱を打ち出した上で、具体的な政策に落とし込んでいます。
特に、産業の育成によって資本と雇用を創出する、としたのは、
その根拠もはっきりと示しており、大いに評価すべき点であるでしょう。
自民党は以前から漫画やアニメへの施策も出していたので、
これらの産業に強化策が打ち出される事も現実的に考えられます。

しかし、ジョブマッチングの根拠の方は弱く、労働条件の改善にもノータッチです。
雇用の充実に関する項目も地方経済の方に割られてるなど、
おもっきし地方への利益誘導をする気まんまんで、
以前の自民党と同じようにコンクリート事業の仕事を増やす事が、
「1人ひとりの状況に応じた就労支援」に繋がりえるのか、
公共事業のあり方を含めて、過度な期待は出来ないでしょう。


【日本未来の党】
原本:www.nippon-mirai.jp/promise/promise.pdf

 ● 卒・原発(ユーザー) ★★
  ・ 原発稼働ゼロに伴う雇用・経済対策などを実施。
  ・ 再生可能エネルギーの普及により、雇用拡大と経済の活性化を図る。 

 ● 守・暮らし(制作者・ユーザー) ★★★★
  ・ ワークシェアリングによる完全雇用。
  ・ 若い世代の人材育成・キャリア形成の促進。
  ・ 非正規社員の正社員化を促進。


こ…こいつぁ…(ゴクリ) 成長戦略ってどこ行ったん?
新エネルギー事業を産業育成の柱に据えるのはいいとして、
他の産業が相対的に失速したらどうするかのビジョンは持ってなさそうです。
何はともあれ卒・原発頼み、まさに選挙の為だけの公約です。

それに対し、雇用面は社会系の団体が支持基盤になってるので、
かなり充実した社会保障の政策を挙げていますね。
中小企業を同時に支えていく事が大前提になりますけど、
漫画家・アニメーターの生活状況も改善されていくはずです。
ただし、完全雇用に関しては経済成長なくして実現するはずもなく、
具体性には欠けるのではないかと思います。
社会保障の第一歩目も、国が潤ってからの話ですね。


【日本維新の会】
原本:j-ishin.jp/pdf/honebuto.pdf

 1- 経済・財政を賢く強くする(制作会社) ★
  ・ 公共事業拡大路線とは異なる、競争力強化路線を目指す。
  ・ 競争敗者の受け皿を整備、破産法制を見直し再チャレンジを可能にする。
  ・ 政府・自治体の予算事業を(もちろんクールジャパンも)民間に開放する。

 5- 外交安全保障を賢く強くする(制作会社) ★★★
  ・ 文化や技術の魅力を活かしたソフトパワー外交を展開。

 1- の続き(制作者・ユーザー) ★★
  ・ 所得税減税による生産者世代の負担軽減、消費活発化。
  ・ 最低賃金を撤廃し、労働市場を流動化させる。
  ・ 減った分の個人所得は給付付税額控除などで一定保障。


すがすがしいくらいのバランス偏重な放任政策ですね。
コンテンツ市場を金融面でコントロールしてやる代わりに、
出版会社やアニメ制作会社の倒産も好きにしてくれって言ってるんです。
こんな事してたらソフトパワーも落ちて外交どころじゃなくなる訳で。

ご存知のように漫画・アニメ産業は、最低賃金維持が守られない事で、
人的労力のかかる作品を安く仕上げている現状が既にあります。
これが原因で人材が流動化し、売れるコンテンツだけが再定義・再生産され、
競争力の弱いコンテンツは市場から淘汰されてきました。
その結果が市場規模の縮小なのですから、税制面以外で全く無策なのは、
漫画・アニメファンにとっては喜ばしい事ではないでしょう。
絶滅危惧種の週刊少年サンデーの安否も心配です。


【公明党】
原本:www.komei.or.jp/campaign/nipponsaiken/manifesto/manifesto2012.pdf

 4- 力強く伸びる日本経済へ(制作会社) ★★★★
  1-4. 日本の強みである成長分野に対して重点的な投資を行う。
  6-1. 中小企業政策の充実を図り、投資を促進する。
  2. 中小企業の再生計画を補助し、再チャレンジを支援する。
  7-1. アニメなどの文化関連予算の倍増を目指す。

 5- 一人ひとりを大切にする社会へ(制作者・ユーザー) ★★★★★
  1-1. 「若者雇用担当大臣」を設置し、新成長産業から雇用を500万人創出する。
  2. 産学官の連携を強化し、雇用のミスマッチと非正規の格差を解消する。
  3. 一般就労の難しいニートの為に、中間的な就労の場を設ける。
 (※ 自民党と同じく、最低賃金の引き上げは方針としてあります。)


まさかの本命きたこれ。漫画・アニメ産業における諸問題について、
両輪のバランスが揃った政策を挙げています
文化関連予算の倍増を「目指す」ってとこが引っかかりますが、
社会保障の面でも若者をターゲットとしたビジョンを明確にしている事から、
政策の実行性にも問題は無いと見ていいと思います。

この党は創価学会(法華系)を支持母体としていますから、
霊友会の顔役である維新の会の石原慎太郎代表と同様に、
たとえ悪策を打ち立てようが、問答無用で支持される恐れはありますが、
その辺の事情は建築関係の組織票で後押しされてきた自民党と変わらないので、
宗教アレルギーの無い方であれば、投票先の1つとして考えてもいいでしょう。


【みんなの党】
原本:www.your-party.jp/file/agenda201212.pdf

 Ⅱ-A-  経済成長戦略で雇用を増やす(制作会社・ユーザー) ★★★
  1-1. 規制改革・税制改革によって地域産業を創出。
  9. 産業リソースを成長が見込める分野にシフトさせる。
  10. 輸出産業としてブランドコンセプトを創出し、海外プラットフォームを設立。
  11. ネットによる新規ビジネスを振興する。

 Ⅱ-A- の続き(制作者・ユーザー) ★★★
  5-2. 非正規・正規での同一雇用条件の徹底。
  3. 新卒採用による雇用慣行を是正し、正社員の解雇ルールを法制化する。
  5. 若年世代の就職促進の為、既卒者支援を拡充する。
  7. 最低賃金を段階的にアップし、サービス残業を強く取り締まる。
  9. 人材サービス企業がハローワークの情報を活用し、ジョブマッチングを図る。


マニフェストを「アジェンダ」と言い換えたり、人と違う事をやりたいのがこの党。
統一教会派だけあって、既得権益からの脱却には期待が持てますが、
あれもやる、これもやると言って、捻出した予算をどこに集中させるのか、
政党カラーがいまいちはっきりしてません

ただ、急造でこしらえた政党よりは政策の根拠がはっきりしています。
維新の会と似たような競争化社会への転換を訴えてるんですが、
競争敗者へのセーフティネットの強化策も示されてますし、
「官から民へ」の一辺倒でもなく、コンテンツ産業への拡充も謳われてます。
全体最適という意味では、いちおう左右の偏りは見られないと思います。
要はこれが実現出来るかです。どこかで優先順位を付け、
やりたい事を絞らない限り、第2のマニフェスト詐欺になりかねません。


【日本共産党】
原本:www.jcp.or.jp/web_policy/data/2012_senkyo-seisaku.pdf

  1- 国民の所得を増やし、内需を活発にする(制作会社) ★★
  2. 大企業の内部留保金260兆円を、雇用や中小企業に還元する。
    中小企業予算を1兆円に増額し、支援を強化する。
    下請け取引を適性化し、「単価」たたきを止めさせる。

 1- の続き(制作者・ユーザー) ★★★
  2. 大企業が行うリストラを規制し、整理解雇4要件を法制化。
    正規雇用を原則とし、非正規雇用を規制する。
    労働時間を短縮させる為、サービス残業を根絶する。
    最低賃金を1000円以上に引き上げ。


最もバランスが悪いのがここ。未来の党と同じく成長戦略が見えないのに、
社会保障だけはやたら手厚いという、極めて現実性の無い政策です。
まず企業が潤わなきゃ最低賃金1000円とか夢物語な訳で。
でも夢はあります。夢もへったくれもない某党よりはいいかなー。

文句ばっかり言っててもしょうがないので長所を探すと、
共産党と社民党は、「下請け取引の適性化」が目玉政策になります。
もしこれが成長戦略を掲げる党で実施されれば、
はっきり言ってこれだけでアニメ制作会社は救われます。
どちらにしろ、経済成長が果たされなければ絵に描いた餅ですので、
共産党と連立しそうな政党を見つけるしかありません。
でも、社民党か未来の党ぐらいしか組むとこって無いよね…。


【社会民主党】
原本:www5.sdp.or.jp/policy/policy/election/2012/data/manifesto_all.pdf

10- 「地域力」アップで創造的地域社会の実現(制作会社) ★★★★
  1-4. クールジャパン事業を拡大、雇用環境の整備も実施する。
  2-1. 「中小企業担当大臣」を設置し、下請け取引の監視機能を強化。

13- 「子ども・若者・女性」人生まるごと応援(制作会社) ★★★
  2. 中小企業対策予算の増額、ブラック企業名は公表する。

  5- いまこそ、人間らしい働き方を(制作者・ユーザー) ★★★
  1. 環境・エネルギー分野に投資し、雇用を創出する。
  2. 正規雇用の原則化、非正規雇用の格差是正。
  4. 最低賃金を段階的に1000円以上に引き上げる。
  5. 長時間労働とサービス残業を規制する。
  6. 整理解雇4要件の厳守、ワークシェアリングを新要件として追加。
  9. 若者の就労・起業・職業訓練の支援を強化。

13- の続き(制作者・ユーザー) ★★
  2-1. ハローワークに若者向けの正規専門職を配置。
  3. 若者の文化活動を助成し、ネット創作物の表現規制に反対する。


極厚資料(笑)が光る社民党の政権公約。 盛り込みすぎです。
経済成長よりオスプレイが喫緊の課題ってどうなのよ。
もう少し優先順位を付けて政策を絞るべきだとは思いますが、
全体の狙いははっきりしてて分かりやすくはあります。
そして、クールジャパンに加えて雇用環境の整備をも挙げてるのはここだけ。
漫画家・アニメーターへの問題意識が高いという事に他ならないでしょう。

残念なのはやはり、経済対策が薄いのに社会保障の厚遇化を謳ってるとこで、
共産党よりは幾分ましにしろ、とても現実的ではありません。
政策として面白い案もあるので、どこかと連立して実現して欲しいですね。
でないとせっかくの良案も活かされないですし。


―――


皆さんのご参考になりましたでしょうか。

公約に違いはあれど、この国が少しでもよくなって欲しいという気持ちは、
どの党も、そして有権者も、みんな同じであると思います。
そう、オール・フォー・ジャパンの精神です。今いいこと言った。
これさえ忘れなければ、どこに投票しても後悔はしないはずです。
あなたの勇気がこの国を変える。さぁ踏み出せ未来へ。

投票日は、12月16日です。



ご清覧ありがとうございました。

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