プロフィール


こんにちは、道場主です。
今回も雑記として所感をまとめてみたいと思います。


ちょうど1ヶ月前、私の手元に、ある冊子物が届きました。
アニメ批評を行っている同人誌『アニプレッション』vol.1とvol.3です。


アニプレッション


"同人誌"と聞いても、アニメキャラがごにょごにょしてるのしか知らない私にとって、
124ページ中112ページが文字で埋め尽くされているというのは、
まったくもって「未知との遭遇」としか言えないものでした。
しかもこの本が同人誌デビュー。何でしょうこのドキドキ感は。

この本は、普段からお世話になっているブログ・アニプレッション様の著書であり、
このブログに合同で寄稿されている名だたるアニメブロガーの皆様方の、
「アニメとは何か」という、ぐつぐつと煮たぎる熱き想いが、
純度の高い考察記事として結晶化されたアニメ批評本です。


私はアニメに関してはほとんど無知で、と言っても、
外部製作の東テレバラエティ番組を土日の昼間に放送するのに、
自社製作の『ワンピース』を平日の深夜2時に流す地元TV局のせいなのですが、
いずれにせよ、アニメブロガーの皆様ほどの熱意は持ちえていませんし、
また、優れたアニメ考察を残せるほどの力もありません。

そんな私のもとに、アニメの魅力を語った貴重な本が届けられたのです。
この本を送って下さったのが、本の編集を担当されたおはぎさん。

この本が生み出された意義を考えるなら、アニメを知らない私が手にするより、
純粋なアニメファンの方の目にこそ触れた方が役に立つはずで、
本当に私に譲って頂いても宜しいのかと疑問も感じましたが、
きっと何かしらの理由があって、この本と私を巡り合わせてくれたのだろうと思い、
そしてその理由を、1ヶ月かけて真面目に考えました。


以下、『アニプレッション』vol.1及びvol.3の私なりの感想です。


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アニメの感想と言えば、当道場が書いたいくつかの記事のように、
放送回ごとの視聴感想か、作品ごとの良し悪しを述べていくに留まるのですが、
アニプレッションに寄稿されているアニメブロガー様方の記事では、
アニメ制作者の方の名前がぽんぽん挙がります。
例えばおはぎさんのこの記事。クラッカさんのこの記事もそう。

つまりは作品そのものだけでなく、作った人の背景にまで踏み込んでいるという事で、
それがよく顕れているのが、vol.3に掲載された富野由悠季特集です。


私は恥ずかしながら、富野監督の事を「ガンダムを作った人」という認識しかなく、
まさに、特集の中で提起されている"富野作品を知らない人達"の仲間です。
しかしそんな私でも、監督がアニメにどういう足跡を残されてきたのかが分かるように、
映像制作の背景や監督の人となり・生き方が解説されていました。

おはぎさんは、映像論から見た監督の人物像や映像制作のノウハウを、
グダちんさんは、アニメ視聴者にも伝播する監督の余りある活力を、
ばるとさんは、美しく散っていくキャラクターに込められた監督の人物描写を、と、
それぞれの視点からの富野論が語られているのですが、
作品に流れる生命感であったり、また作品露出の機会の減小であったりと、
共通した解釈が見られるのが、富野監督の魅力なのでしょう。
大和田秀樹先生の漫画には書いてなかったぞぅ…。


文学批評なんかがそうですが、プロの評論家が書く論文では、
単純な作品論に終始する事はまずありません。
必ずと言っていいほど、作家先生が作品を書くに至った背景も記します。

例えば、宮本輝の代表作『優駿』で、オラシオンの専属騎手となる
奈良五郎のついた嘘と、愛馬・ミラクルバードの悲劇を論じる時には、
エッセイ集に収録されたうちの一編に過ぎない『途中下車』から、
先生自身がご友人についた嘘にも触れなければ、
私小説家としての宮本輝像に正しく迫る事は出来ません。

そういった意味で、アニプレッションに寄稿されているメンバーの皆様は、
もはやプロの評論家と言っても差し支えが無いと思う訳です。


プロのアニメ評論家による、制作者の意図をも丸裸にしたアニメ論考。
それこそが『アニプレッション』の魅力ですね。


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続いてvol.1の方。

こちらは、おはぎさんの真面目な前記と冗談みたいな後記が表す通り、
硬軟両様が相まう非常にバラエティに富んだ内容になってます。

神酒原さんとおパゲーヌスさんがアニメの面白さを語った後は、
メルクマールさんがジェラルド・プリンス級のラブストーリー分類学をぶつけ、
ヨークさんらによる作品考察が続けざまに投入されたかと思ったら、
アニメに合うお菓子レビューや、『おお振り』在校生からの現地レポートまで行われ、
最初から最後まで飽きさせず、読み応えがありました。


しかしながら私に伝わってきたのは、徹頭徹尾、アニメに対する愛情です。
手を変え品を変えても、この愛情が奔流のように流れている。

それがよく分かるのが、巻末の執筆者一覧におけるコメントで、
のんたんさんの「ブログ歴は二ヶ月ですが、古手川唯溺愛歴は四年です」や、
uhdさんの「結局言いたいのは、もっとソ・ラ・ノ・ヲ・トを観てほしい」など、
作品愛をご自分の意見の柱として、堂々と述べられています。


道場主が記事を書く時は、なるべく客観的に書く事を意識してます。
考察において主観が混じると、そう思わない人からの反論を受けるからです。
記事を書いた後も、翌日にはリフレッシュした頭で全文に目を通し、
反論を受けそうな箇所をちょこちょこ修正しています。
つまりは、作品愛より自己愛が優ってるという意味です。

どちらがより良い記事なのかは私には分かりませんが、
私がアニプレッション様に寄稿した際は、「愛が無い」と一撃で論破されています。
つまりは、そういう事です。理に厚いヒラリー・クリントンが支持されず、
情に厚いビル・クリントンが未だに高い支持を集める理屈と同じ。
自分を偽りなく標榜するというのは、とても勇気の要る事だと思いますし、
また、それを柱にした論考の数々は、とても素晴らしいものでした。

作品愛はアニメ語りの原点であると再認識する事が出来る、
『アニプレッション』の原点が、このvol.1です。


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『アニプレッション』を編集してこられたおはぎさんが、
なぜアニメファンでも何でもない私に、この本を譲って頂けたのかを考えると、
単なる普及以上の理由があったんじゃないのかなぁと思ったりもします。

ちょうどおはぎさんが私にダイレクトメールをくれた時期というのは、
私が仮面ライダーの考察をアニプレッション様に寄稿したタイミングと一致していて、
おはぎさんがこの記事に共感してくれたからではなかろうかと勝手に想像してるんですが、
べっ別に本が余ってただけだからね!あんたなんか全然気にしてないんだからね!
とかだったらゴメンナサイ。キックストライクくらって爆発します。

ともあれ、次回はアニメ『宇宙兄弟』の選抜試験編終了後に、
また考察記事を寄稿させて頂こうかなと思ってます。
アニプレッションのメンバーの皆様方、今後とも宜しくお願いしますね。
 


ご清覧ありがとうございました。