夜神月

↑第1部のあなたは輝いてました。


【その他のネタ考察】

 もしも乙女漫画の男子と萌え漫画の女子が付き合ったら
 もしも『バクマン。』の七峰透がデミングサイクルを導入したら


さて、今日からからネタ考察をスタートします。
第1回は『DEATH NOTE』。もはや上の画像だけでネタだと分かりますね。

今回の考察の目的は、夜神月の敗因を明らかにし、対処策を打ち出す事です。
なぜ頭の回転の早かった月が、いとも簡単に他人に出し抜かれたのか?
そこには月自身も気付いていない、大きな落とし穴がありました。


―――


まず、夜神月が敗北に至るまでの行動を振り返ってみましょう。


Lに勝利した月は、2代目Lに成りすましてそのまま警察に居座り、
その裏でキラとしてノートによる殺人を続け、世界から崇拝される存在となりました。
キラを熱烈に崇拝し、神と崇める検察庁検事の魅上照は、
月の高校時代の同級生だったMHNの看板キャスター・高田清美を通じて、
国際警察にマークされて身動きの取れない月に2冊目のノートを渡され、
キラの代行として、自身が考える悪を削除していきます。

ところが、高田も魅上も、Lの意志を受け継いだL陣営にマークされており、
高田は単独行動を取っていたLの後継者の1人・メロに拉致され、
魅上は証拠隠滅の為にノートを使って高田を殺しますが、
その行動はもう1人の後継者・ニアによって監視されていて、
2冊目のノートはL陣営の手によって押収、および複製されていました。

いざ月とニアとの対峙の時。月は殺人実行役の魅上に指示を出し、
現場に居揃ったL陣営を全員殺そうと画策します。
偽物のノートをめぐる月とニアの策謀があれやこれやとありますが、
本物のノートは既にニアに押えられていて、月の策は失敗します。
ニアに敗れた月は殺人の証拠を押さえられ、ついにキラである事を自供します。
月にノートを渡した死神・リュークは、自暴自棄になった月を見限り、
月の名前を自分のノートに書いて、キラは最期を迎えました。


夜神月

↑あり得ないのは第2部のあなたです。


デスノート、死神、死神の目を持つ協力者と、圧倒的なアドバンテージを持ちながら、
ついにはL陣営に敗北を喫した夜神月。その行動には疑問があります。

まず、直接の敗因となったのは、2冊目のノートがニアの手に渡った事ですね。
そして、ノートが押収される原因となった魅上の行動にも行き当たります。
本物のノートが複製されてさえいなかったら、直接対決の際、
L陣営は死神の目を持つ魅上によって全滅させられていたでしょう。

では、魅上が複製を許していなかったら、勝敗の決着は変わっていたでしょうか?
いいえ、そうはなりません。L陣営は既に月の周辺を固めていました。
いずれの方法を取っても、ノートを押収されるのは時間の問題であったのです。

つまり、月は背後にあった人間関係をL陣営に気付かれる前に、
ニアと決着を付ける必要があったという事です。


―――


しかし、そんな事が可能な状況ではありませんでした。
そもそも月が魅上にキラの代行をさせたのは、自分の身に捜査が及んでいたからで、
そうなる原因を作ったのは、これまで月がキラとして行ってきた行動の中に、
月とキラを結びつけるいくつかのヒントがあったからです。

これらを現状として捉えた場合、疑われていると分かっていたはずの月が、
デスノートの管理において、最善策に溺れてしまい、
次善策を用意しなかった事が、ニアに付け入る隙を与えたと言えます。
つまり、敗因は月が行ったノートの管理の仕方にあるのです。

ノートを保管する机の引き出しに細工をしたり、追加で13日の嘘ルールを作ったり、
当初はノートが他人の手に落ちた時の想定を考えていました。
ところが、第2部の頃からうかつな行動がやたらと目立つようになります。
第1部ではあれほどノートの管理に慎重に慎重を重ねていたにも関わらず、
どういう訳か第三者に簡単に渡すようになりました。


第2部スタートの段階で、月の手元には3冊のデスノートがありました。
最初にリュークが持ってきて、シドウに返した1冊目のノート。
ジェラスが海砂を守る為に使い、その後も海砂が使い続けた2冊目のノート。
そしてレムがLを殺す時に使った3冊目のノートですね。

あろう事か月さん、これら3冊全てを1度は他人に渡してます。
馬鹿なの?死ぬの?テラアホスなの?


ターニングポイントは3つあります。

まず、妹の夜神粧裕がメロに誘拐された時、身柄引き渡しの条件として
メロから提示されたノートとの交換に応じた事ですね。
デスノートは、23日間だけなら死に繋がる行動を操れます。
ゆえに、邪魔になった妹を混乱に乗じて殺害するのも容易だったはずです。
ノートの保持はキラである事の存在証明であり、何よりも優先されるべきでした。
ところが月はあっさり交換に応じてしまいます。マジどうしちゃったのよ。

月の信念として自分の家族を殺す事に躊躇があったと語られていますが、
結局これがきっかけで、死神とノートと嘘ルールの存在をL陣営に知られてしまい、
この時点で月が持つアドバンテージが月の協力者以外に無くなります。


次に、粧裕を誘拐したメロから1冊目のノートを取り返す時に、
レムから苦労して奪った3冊目のノートを捜査本部に提供した事です。
いくら致し方なかったとは言え、そもそも1冊目を相手方に渡していなければ、
こんな事しなくて良かったはずなんですけどね。

もはやこの頃には月の策謀がと言うより、キャラが崩壊してきてます。
出たとこ任せの行きあたりばったりな人へと足を踏み入れてます。


最後に、協力者となる人物に第三者を選んだ事です。
ノートに名前を書くだけなら、高田1人を協力者に選ぶだけで良かったはずで、
高田に捜査が及んだ段階で第三者という選択肢を取れば良かった。
もっと言うならプリンターを使ってPCで自動更新という手もあったんです。

いくら状況が窮していたとは言え、キラの代行として魅上を選ぶのはあり得ません。
なぜ何の接点も無い人物に、いきなり自分の切り札を預けるのか。
この1点においてだけでも、月は決して頭の良い人物ではなく、
策に弄してその場しのぎに右往左往するだけの小心者に成り下がってます。



では、どのように対処していれば月は勝利できたのでしょうか?
ズバリ、ノートを自分の手の届く範囲で確実に保管しておく事です。

1冊目はシドウに返しますから、手元に残るのは2冊目と3冊目です。
もちろん、誘拐された妹なんて絶対に助けません。
世界の創造主たるキラ様が、私情を挟んでは大事を成せませんから。

その後、2冊目のノートを使って裁きを下していく事になりますが、
ニアの捜査は厳しくなってきますから、これは筋書通り、魅上に預けて良いです。
むしろ、ニアにノートの複製を作らせるオトリとして使えます。

さぁここからがポイント。いざニアとの決戦場へ向かいますが、
この時、魅上に保管させておいた2冊目のノートではなく、
自ら保管していおいた3冊目のノートを使います。
これは海砂に書かせます。
L陣営の皆様は3冊目のノートがある事なんて全く知りませんし、
決戦場となった倉庫には外に見張役すら置いてません。
想定外の切り札を切られたニアは、完全にオワタツンダ状態です。

はい、この通り。月がL陣営に勝つ道筋が出来ました。
切り札ってのはこういう風に使うもんですよ(まぁ結果論ですけど)。


―――


夜神月が敗北に至るもう1つの原因は、相手の思惑に乗りすぎた事です。
これはLの挑発に乗って、リンド・L・テイラーを殺した所から始まっています。
月の目的は「新世界の神となる」事であり、「Lに勝つ」事ではありません。
なまじ頭が良すぎた為に、目的以外の事に突っ込みすぎたのが、
今回は触れなかった、敗因の大きな背景としてあります。

もちろんこれを認めてしまえば、『DEATH NOTE』である前提も、
月が主人公である意義も無くなりますので、ここから先はネタとして考察します。


『DEATH NOTE』の主人公が夜神月では無かったら、
もしもノートが、そこら辺に居る有象無象の手に収まっていたら?
と言うか、普通はその可能性の方が大きいんですが、
はたしてどのような変化がストーリーに生まれていたでしょうか。

シドウを騙くらかしてデスノートを手に入れたリュークは、
退屈しのぎにと人間界にこれを落としていきます。
で、ノートをたまたま拾ったのが、たまたま全国模試トップの頭脳の誇る、
後に日本で最高峰の大学に全教科満点の主席合格をする夜神月だった事で、
話がここまで大きくこじれちゃった訳ですね。

どうせだったら凡百どもよりさらに底辺の、
どうしようもない負け組ニートに拾ってもらう事にして、
夜神月の敗因から明らかになった問題点を修正してもらいましょう。


【主人公】

・月並 平(ツキナミ タイラ) 32歳。
・無職、独身。
・ニート歴10年のプロニート。
・IQ80、高校中退。



やだ…何て斬新な設定でしょう!
こんな作品がかつてこの世に存在したでしょうか。


さて、1年ぶりにハローワークに行った帰りにデスノートを拾った月並くん。
道中で渋井丸拓男、略してシブタクなるDQNからカツアゲに遭い、
その怨恨から家に帰ってシブタクの名前を試しにノートに書き散らします。
するとびっくり、風呂上がりにPCを立ち上げたら、
シブタク死亡のニュースが2chに流れているではありませんか。

「デスノート…本物だ!」

自分をゴミのように扱ってきた世間を見返してやる為に、
デスノートを使って粛清を行い、「新世界の神」となる事を決意します。

…途端に中二臭くなってきましたね。


この頃、謎の大量死に疑念を持ったICPOの探偵・Lは、
TV放送を通じてキラの居場所を突き止める策を実行します。
しかし月並くんはネットに夢中。挑発に乗らないばかりか、TVすら見てません。
マスコミは捏造報道しかしないので、現実をネットに求めていたからです!

2chにはリンド・L・テイラーに関するスレッドがぽつぽつ立ちますが、
それより憎き韓国・中国の反日デモの方が大事件なので、
愛國戦士である月並くんは優先順位に従ってデモの主催者を粛清し始めます。

ネットには次々と倒れていく主催者を写した画像がうpされ、
「天罰www」とか、「ざまあぁぁぁwww」とかのレスが並び、
裁きの鉄槌を下した見えない力に、「ネ申」という賛辞が送られるようになります。

「デスノートで、世の中を変えてやる(キリッ)」

終始ご満悦の月並くんです。

月並くんの決意表明と時を同じくして、第2のキラ・弥海砂が現れますが、
コンビニでエロ漫画を立ち読みする月並くんを見て幻滅し、
2人の接点は生まれる事なく、そのまま時は流れます。


―――


しかし、キラの影を追うLも馬鹿ではありません。
キラの犠牲者が2ch勢いランキングで上位に報道された人物に偏り、
しかも昼間に多い事から、容疑者を日本に居るキモオタニートと断定。
さらに嫌韓や嫌儲掲示板にターゲットを挑発するスレッドを立て、
レスした人物のIPを管理者に開示するよう要求します。

その策に月並くんは見事に引っかかります!
それが釣りである事も知らず、コピペAAを張り付けた月並くんは、
IPをぶっこ抜かれ、容疑者の1人としてマークされるようになります。


けれどLの方も、ミスを犯してしまいます。
やらなくてもよいネタばらしを再度スレッドを立てて公開し、
それと同時に、わざわざキラへ挑戦状を叩きつけます。

どちらにしろ月並くんはもうびっくり!

「くそっ、やられた!」

これによりLの計画が月並くんの知る所となり、
月並くんは警戒して情報入手先をまとめブログに変えてしまいます。


月並くんは未だかつて、自信というものを持ち得た事がありません。
ゆえに、月並くん(普通の人)の考えうる「正義」とは、
他人との折衝ですぐにしぼみ、揺らいでしまう程度のものです。

「必ずお前を探し出して始末する!」とはなりません。

月並くんはLを避け、更に自分の居心地の良い場所へと潜んでいきます。
こうして、Lとの接点も無くなり、Lの捜査は行き詰まります。
捜査の生命線である守秘情報を漏洩したのですから、自業自得ですね。



それからしばらくして、海砂が芸能界デビューし、上京してきます。
海砂のロリフェイスと男心をくすぐる仕草は、
「ミサミサ (*´д`*)ハァハァ」と、ネットでもすぐに話題沸騰となり、
月並くんも海砂の虜にされ、ブログ愛読者になります。

ところが、トップアイドルの道を駆け登っていたミサミサに、
思わぬ大スキャンダルが発覚します。
頭脳明晰で街角モデルとしても人気の東大生・夜神月氏との
お持ち帰りデート&裸でツーショット写真がスクープされたのです!

「駄目だこいつ…早くなんとかしないと…」

海砂の熱心なファンだった月並くんは、デスノートを使った
夜神月の排除を企て、海砂のブログに月の殺害予告を書き込みます。


ですが、これが月並くんにとって命取りでした。
ミサのブログはスキャンダルで大注目されてる真っ最中で、
そんな時に悪意のコメントを付けたのですから、すぐに通報祭りになります。

月並くんのIPは特定され、日本の警察に逮捕されます。
その後の家宅捜索で、『DEATH NOTE』と表題の付いた黒いノートに、
今まで不審な死を遂げてきた人物の名前が書かれている事も判明し、
ワイドショーで恒例のオタクバッシングが始まります。

なお、月並容疑者は警察の取り調べにおいて、

「悪は悪しか生まない。まだ世の中は腐っている。
 腐った人間が多すぎる。ならば、なくさなければならない。」

などと意味不明の供述をしており、動機は未だ不明です。
捜査当局では、キラ事件との何らかの関与がある可能性もあると見て、
慎重に捜査を進め、余罪の追求を進めていく方針です。


…結局負けるんかいぃ!


―――


最後に、道場主の『DEATH NOTE』観について。

この作品は、『ドラえもん』の構図とよく似ていると思います。
異なる世界から便利なアイテムを持って現れた異邦者。
それを使って願望を叶えていく主人公の男の子。
ドラえもんのひみつ道具を悪用したらどうなるかという、
誰もが1度は考えた事のある疑問を、実際にシミュレートしてみた訳ですね。
「ムカつくヤツを消したいな」「はい、デスノート♪」の世界です。


『ドラえもん』にも、"どくさいスイッチ"というひみつ道具があります。
嫌いな相手を消す事の出来る、悪魔のスイッチです。

どくさいスイッチ

↑どくさいスイッチ。夜神月の思想と重なっている。


のび太はまずジャイアンにいじめられた仕返しにと、ジャイアンを消し、
次に2番目に強いスネ夫にいじめられたら、スネ夫を消し、
こうして次々と自分より強い者をスイッチで消していったのび太は、
最後は独りになってしまうというエピソードです。

しかしこの話には救いがあり、実はこのひみつ道具、
全て幻の出来事で、道具を使った相手を戒める狙いがあったのです。
そしてのび太はドラえもんの思惑通り、自分を恥じました。
ここが、『DEATH NOTE』の月とは異なる点ですね。

夜神月の思想は、諫めてくれる人物が周りに居なかったというだけで、
根本的にはいじめられっ子であるのび太と同じです。
マジョリティに対するマイノリティが、中二病をこじらせた話。
だからこそフォーマットを転用して月並くんのネタ化も出来る訳です。
ただ1つ違うのは、月の信念は並大抵のものではなく、
マイノリティである事を恐れず、むしろ誇りとしています。

これは想像ですが、もしも月が孤独である事を恐れていたら、
月の存在意義は一般大衆と同化し、Lの捜査を振り切っていたかも知れません。

月は自分を顕示する事でL陣営に特定され、敗北しています。
ゆえに、自己顕示を早い段階で止め、新世界を作る目的に専念していれば、
月はせっせとノートに名前を書いていくだけで、勝つ事が出来た。


『DEATH NOTE』は、月を揺るぎない正義を持った人物として描き、
純粋な知能戦だけを楽しめるように作られています。
特に月の悪役っぷりは見事なもので、ラストシーン以外は
決してブレない"悪"を描ききっていると思います。
第2部ではその知能戦がなりを潜め、アクションシーン満載だっただけに、
月の落ちぶれっぷりを含めて、少し残念な気はします。

その後、『バクマン。』でも七峰透なる頭脳キャラが出てきて、
まるでヨツバグループを彷彿とさせるような合議制を唱え始めますが、
『DEATH NOTE』で一度やり尽くしたネタを繰り返してますから、
ここも少し蛇足であったでしょうかね。

いずれにせよ、『DEATH NOTE』は1つの記事に書き尽くせないほど、
漫画の魅力が詰まった作品である事は間違い有りません。
今もこうして妄想を続ける読者が、ここに居るのですから。

私がドラえもんにお願いするなら、"木こりの泉"を出してもらって、
悪い人をみんな、きれいなジャイアンみたいにしてもらうかな。

きれいなジャイアン

↑きれいなジャイアン。
 


ご清覧ありがとうございました。